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フンパヨン

闇に潜む信仰、呪物が導く終わりなき恐怖

公開年:2024 年 (製作年:2023 年 )

原題:Hoon Payon

上映時間 107 分

制作国:タイ

監督:ポンタリット・チョーティグリッサダーソーポン

出演:プーンパット・イアン=サマン

ストーリー:

兄の死の謎を追う青年が、呪われた人形信仰の闇に触れるタイ製ホラー。

Rottenn Tomatos評価

iMDb評価

Filmarks評価

サイト評価

コメント

🌟 1. 本作の魅力:注目ポイント

 

  1. タイ独自の信仰文化と呪物

    タイに伝わる身代わり人形「フンパヨン」の伝承をベースにした物語。

    本物のロケ地と呪具を使用することで、土着信仰の持つ神秘性と恐ろしさを鮮やかに描いています。

  2. 人気若手俳優の競演

    タイドラマで人気のプーウィンとアップが主演しています。

  3. ホラーとミステリーの融合

    単なる恐怖描写だけでなく、兄の失踪の謎や、村の秘密を探るミステリー要素が加わっています。

👤 2. こんな人におすすめ

 

✅ おすすめ

 

  • タイのホラー映画やアジアの民俗ホラーに興味がある方
  • オカルトや土着信仰、呪術といったテーマに関心がある方
  • 主演のプーウィンやアップのファンの方
  • ミステリー要素や社会的テーマを含むホラーを楽しみたい方
⚠️ 注意点

 

  • 過激な暴力描写やグロテスクな表現が含まれます。
  • 宗教的な儀式や信仰が物語の中心となるため、苦手な方は注意が必要です。
  • 驚かせる演出(ジャンプスケア)が一部あります。
  • タイ文化や宗教観に馴染みがない場合、理解にややハードルがあります。

🧠 3. 物語とテーマ

 

あらすじ

 

出家した弟を訪ねて島を訪れた兄が、奇怪な事件に巻き込まれていく。

 

テーマ

 

本作は、タイの地方に残るアニミズム的な人形信仰「フンパヨン」を題材にしています。

呪物信仰がもたらす集団心理や盲信、そして伝統と現代の価値観の衝突を描きながら、家族愛や喪失感といった普遍的なテーマも根底に流れています。

 

構造

 

物語は主に、村を訪れた青年の視点から展開されます。
弟の失踪の真相を探るミステリーとして進行し、村の秘密が徐々に明らかになります。

回想シーンなどが挿入され、現在と過去が交錯しながら、フンパヨン信仰の核心へと迫っていく構成です。

 

🎬 4. 演出と技術の評価

 

映像表現

 

全体的に暗く、陰影を強調した画作りが特徴です。

特に夜の森や寺院内部、石像の並ぶシーンなどでは、限られた光源が不気味さを際立たせています。

フンパヨン人形自体のクローズアップも多く、その無機質な表情が恐怖を増幅させます。

 

音響設計

 

読経の声、儀式の際に鳴らされる楽器の音、風の音などが、土着的な信仰の世界観を表現しています。

 

美術・衣装

 

本作の核となるフンパヨンのデザインは、禍々しさと神聖さが同居する独特の雰囲気です。

家屋や寺院のセットデザイン、僧侶の袈裟や村人たちの服装も、タイの地方文化や信仰の空気感をリアルに再現しています。

 

象徴的なシーンの演出

 

儀式のシーンでは、薄暗い中で揺らめく蝋燭の光、響き渡る読経、一心不乱に祈る村人たちの姿などが、信仰の持つ力と異様さを描き出しています。

 

🌍 5. 海外の視点と製作の舞台裏

 

海外メディアの評価

 

タイ本国では、2023年の公開時に当初R18+指定を受けましたが、一部シーンを再編集しPG13として公開された経緯があります。

この検閲問題は、宗教的・文化的な描写に対するタイ国内の複雑な状況を反映しています。

アジアン映画祭では高評価を獲得し、Varietyなど海外メディアも、タイホラーの成熟を評価しています。

 

製作エピソード

 

ポンサリット監督は、タイの伝統的な信仰や伝承を、現代的なホラーエンターテイメントとして昇華させることを目指し「信仰と恐怖の両面を描きたかった」と語っています。

寺院や呪物は”本物”を使用し、俳優陣も実際の儀式に参加したことで、撮影現場は本気で恐怖に包まれたそうです。

 

日本国内の評価

 

日本では、タイドラマの人気俳優が出演する作品として、公開前からファンの間では高い関心を集めました。

 

🔗 6. 関連作品レコメンド

 

同ジャンル/テーマ

 

  • 女神の継承』(2021)
    同じくタイの土着信仰やシャーマニズムを扱ったモキュメンタリーホラー。
    本作よりも、よりドキュメンタリー的な恐怖を体験できます。

  • 哭声/コクソン』(2016)
    韓国の田舎町を舞台に、得体のしれない存在がもたらす恐怖と混乱を描く。

  • ミッドサマー』(2020)
    集団信仰と儀式がもたらす恐怖を北欧設定で描く作品。
    異文化ホラーの比較に最適です。
同監督作

 

  • 祟り蛇ナーク』(2019)
    タイの伝説と呪いをテーマにした前作。
    土着信仰への視点が共通していますが、コメディ要素が強いです。

🤔 7. レビュー


タイ独自の「フンパヨン」信仰を扱った意欲作。

本物のロケ地と呪具を使用した圧倒的なリアリティなど、映像と音響による雰囲気作りも巧みで、タイの地方が持つ神秘的で閉鎖的な空気感をよく伝えています。

一方で、物語の展開や伏線回収には、強引さや説明不足もありますが、うまくタイの文化とホラーを融合させた試みは評価できます。

関連リンク

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