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密輸1970

海に沈む運命と友情の密輸劇

公開年:2024 年 (製作年:2023 年)

原題:밀수/Smugglers

上映時間 129 分

制作国:韓国

監督:リュ・スンワン

出演:キム・ヘス, ヨム・ジョンア

ストーリー:

70年代韓国、海女たちが危険な密輸に挑むクライム活劇。

Rottenn Tomatos評価

88%

iMDb評価

Filmarks評価

サイト評価

コメント

🌟 1. 本作の魅力:注目ポイント

  1. 実力派俳優陣の圧巻のアンサンブル

    キム・ヘスとヨム・ジョンアのW主演に加え、チョ・インソン、パク・ジョンミンら、個性的な俳優たちが織りなす共演は見応え十分です。

    特に二人の主演女優の強烈な存在感と、彼女たちの複雑な友情関係が物語の核となっています。

  2. 1970年代韓国を鮮やかに再現

    活気あふれる市場や当時のファッション、音楽がスクリーンを彩り、観客を70年代の韓国へと誘います。

    西洋文化への憧れと近代化の過程という時代背景が美しく描かれ、視覚的にも楽しめる作品となっています。

  3. 手に汗握る水中アクション

    躍動感あふれるアクションシーンは圧巻で、特に海中での密輸シーンは緊張感に満ちています。

👤 2. こんな人におすすめ

✅ おすすめ

  • 韓国映画特有の熱量やエンタメ性を求める方。
  • 『オーシャンズ』シリーズのようなスタイリッシュな犯罪エンターテイメントが好きな方。
  • キム・ヘス、ヨム・ジョンアをはじめとする実力派俳優の競演を楽しみたい方。
  • 1970年代の韓国という独特の時代背景や社会状況に興味がある方。
  • 女性が活躍するアクション映画が好きな方。

⚠️ 注意点

  • 登場人物が多く、複雑な人間関係や裏切りなどのプロットが展開するため、集中して観ることをおすすめします。
  • 一部の評論家からは「脚本が平凡」「キャラクターの魅力不足」と指摘される側面もあります。

🧠 3. 物語とテーマ

あらすじ

1970年代の韓国漁村。
海女たちが、生活苦から密輸品回収に手を染め、一攫千金の大きな賭けに巻き込まれていく海洋犯罪アクション。

テーマ

本作は、犯罪エンターテイメント作品ですが、主人公たちが密輸という違法行為に走るのは、権力欲からではなく、経済的絶望からの実用的な選択として描かれています。

特に、家父長制が色濃く残る社会で、自らの力で道を切り開こうとする女性たちの強さと脆さ、そして彼女たちの間に生まれる連帯と対立が中心的なテーマです。

また、当時の韓国社会が抱えていた密輸問題という社会的な側面も、物語の重要な要素となっています。

 

構造

物語は、二人の女性海女の視点を通して、密輸に関わる様々な人々の思惑が交錯し、徐々に大きな事件へと巻き込まれていく様が描かれます。

過去と現在が巧みに織り交ぜられ、登場人物たちの行動の動機や背景が徐々に明らかになる構成は、よく出来ています。

🎬 4. 演出と技術の評価

映像表現

本作の映像は、1970年代の韓国の雰囲気を巧みに再現しています。

リュ・スンワン監督は、当時の雰囲気を色彩豊かに再現しながらも、アクションシーンではダイナミックなカメラワークで観る者を引き込みます。

特に印象的なのは水中シーンの撮影です。
海女たちが海中を自在に動き回る姿は美しく、同時に密輸という危険な行為の緊張感を高めています。

 

音響設計

70年代の韓国歌謡を彷彿とさせるレトロなサウンドトラックと、密輸という緊張感あるテーマに合わせたサスペンス要素の音響設計が調和しています。

美術・衣装

1970年代という時代設定を忠実に再現した美術デザインと衣装は、本作の世界観を構築する上で重要な役割を果たしています。

海女たちの作業着から、密輸業者たちの派手なスーツ、当時の流行を反映した普段着まで、キャラクターの個性や社会的背景を巧みに表現しています。

また、漁村のセットや小道具のディテールへのこだわりも素晴らしく、観客を当時の韓国へとタイムスリップさせてくれます。

象徴的なシーンの演出

特に印象的なのは、海女たちが集団で海に潜り、密輸品を引き上げる一連のシークエンスです。

水中での息詰まるような緊張感、仲間との連携、そして水上に上がった瞬間の解放感と達成感が巧みに演出されています。

🌍 5. 海外の視点と製作の舞台裏

海外メディアの評価

多くのレビューで、キム・ヘスとヨム・ジョンアを中心としたキャストの力強い演技、リュ・スンワン監督の手堅い演出、そして70年代の雰囲気を再現した美術や音楽が称賛されています。

Variety誌は、「エネルギッシュなキャストと巧妙なプロットが融合した、満足度の高いエンターテイメント作品」と評しています。

また、複数の批評家がリュ・スンワン監督を「世界最高のアクション監督の一人」と評しています。

製作エピソード

リュ・スンワン監督はインタビューで、「実際にあった密輸事件や、海女という存在のドキュメンタリーからインスピレーションを得た」と語っています。

監督は以前の映画『シドン』のロケハンティング中に、地元の博物館で密輸に関する資料を見て、この映画のアイデアを得たと語っています。

水中での撮影に備え、キム・ヘスやヨム・ジョンアは、実際の海女やシンクロナイズドスイミングのコーチから、数ヶ月間の潜水トレーニングを受けたと伝えられています。

日本国内の評価

海外評価と同様に、キャストの演技力やエンターテイメント性の高さが評価されています。

🔗 6. 関連作品レコメンド

同ジャンル/テーマ

  • エクストリーム・ジョブ(2020)
    捜査のためにフライドチキン店を始めた麻薬捜査官たちの奮闘を描くコメディ要素の強いクライム映画。
    チームワークや意外な展開が楽します。

  • 10人の泥棒たち(2013)
    韓国と香港のプロの泥棒たちが、巨大なダイヤモンドを盗み出すために手を組む犯罪映画。
    豪華キャストとスタイリッシュな映像、スリリングな展開が魅力です。

  • オーシャンズ8(2018)
    女性による、緻密な計画型犯罪映画という点で共通します。
同監督作

  • ベテラン』(2015)
    広域捜査隊のベテラン刑事と傍若無人な財閥3世の対決を描いた痛快アクション。
    監督特有のユーモアと社会風刺、迫力のアクションが楽しめます。続編も作成されました。

  • モガディシュ 脱出までの14日間(2022)
    1990年代のソマリア内戦下、孤立した韓国と北朝鮮の大使館員たちが協力する姿を描いた実話ベースの作品。

🤔 7. レビュー

本作は、単なる犯罪娯楽映画の枠を超え、1970年代韓国の社会状況と女性たちの生き様を描いた意欲作と言えます。

シリアスなストーリーにも出来たのでしょうが、コンゲームのようなストーリー展開になっており、エンターテイメント性の高さに繋がっています。

一方で、オーバーワーク気味の演出によるバタついた展開は、2時間超の作品だけに単調に感じられます。

また、1970年という時代設定は、日本で言えば昭和。
当時のセットや背景に流れる楽曲は、韓国の方には懐かしい雰囲気で楽しめるでしょうが、そこまでのノスタルジーを感じられませんでした。

関連リンク

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SEBS
SEBS
23 days ago

笑いあり、涙あり、アクションあり
実際にあった事件をもとに韓国らしい
最高な作品です!
オススメです。

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