新垣結衣が演じる小説家・高代槙生と、早瀬憩が演じる姪・田汲朝の関係性は、血縁を超えた新しい家族像を提示します。

新垣結衣は、これまでの明るいイメージから一転し、内向的で感情表現が苦手な槙生を見事に演じています。
オーディションで選ばれた新人の早瀬憩は、朝の複雑な心情を瑞々しく表現しており、対照的でありながらも、互いに支え合い成長していく二人の姿をうまく演じています。

瀬田なつき監督の演出は、自然光を多用した映像美と、登場人物たちの微細な感情の揺れを丁寧に捉えています。 特に、槙生と朝が共有する静かな時間や、日常の些細な出来事が美しく描かれています。

脚本は原作のエッセンスを活かしながらも映画としての独自性を持たせており、キャラクターたちの心情描写が巧みです。

同ジャンルの作品としては、『万引き家族』や『海街diary』がありますが、『違国日記』は、より個々人の内面にフォーカスし、人間関係の機微を描いている点が特徴です。

これらの作品は、現代社会における孤独や家族観の変化というテーマとも深く結びついており、多様化する人間関係の複雑さもモチーフの一つとなっています。