Rottenn Tomatos評価
iMDb評価
Filmarks評価
運営評価
レビュー
1. 本作の魅力:注目ポイント
- 吉沢亮と横浜流星の圧巻の演技
歌舞伎役者としての葛藤と成長を見事に表現しています。 - 李相日監督による繊細かつ力強い演出
歌舞伎の舞台裏や稽古の緊迫感がリアルに描かれています。 - 吉田修一の原作が持つ壮大な物語
原作のもつ人間ドラマが、映画として見事に昇華されています。
2. こんな人におすすめ
✅ おすすめ
- 吉沢亮と横浜流星の演技に魅了されたい方。
どちらも、新たな演技を堪能できます。 - 日本の伝統芸能に興味がある方。
歌舞伎の世界を本格的に描いた貴重な作品です。 - 人間ドラマを深く味わいたい方。
約50年の人生を描く壮大なストーリーが楽しめます。
⚠️ 注意点
- 時間に余裕がない方。
上映時間175分の長編映画です。 - 軽いエンタメを求める方。
登場人物の葛藤や苦悩が深く描かれる、重厚な人間ドラマです。 - 歌舞伎に興味がない方。
歌舞伎や日本文化に馴染みがないと難解な場面もあります。
3. 物語とテーマ
あらすじと概要
任侠の家に生まれた喜久雄は、歌舞伎役者の家に引き取られ、芸の道へ。
名門の御曹司・俊介と出会い、互いに高め合いながらも、血筋と才能、そして運命に翻弄される壮大なドラマです。
テーマと構造
本作は「血筋」と「才能」の対立、伝統芸能の継承、芸に人生を賭ける孤独と情熱を重層的に描きます。
物語は時代の変化とともに、個人の運命と芸の本質を浮き彫りにします。
4. 映像・音響表現と演出
李相日監督の演出は、歌舞伎の舞台を思わせるような荘厳さと、登場人物の感情の機微を捉える繊細さを兼ね備えています。
ソフィアン・エル・ファニによる撮影は、歌舞伎の華やかさと裏側の厳しさを対比させ、観る者をその世界に引き込みます。
特に、歌舞伎の舞台シーンは、照明や色彩が巧みに使われ、息をのむような美しさです。
音響面では、歌舞伎特有の鳴り物や三味線の音が効果的に使用され、臨場感を高めています。
また、登場人物の心情を表現する音楽も秀逸で、映像と音響が一体となって物語を深く彩っています。
吉沢亮と横浜流星の演技は、その場の空気感や共演者の動きに全神経を集中させた自然な表現が印象的です。
5. 製作エピソード
原作は、芥川賞作家・吉田修一の同名小説で、朝日新聞に連載され、芸術選奨文部科学大臣賞を受賞しています。
原作者の吉田修一が3年の間歌舞伎の黒衣を纏い、楽屋に入った経験をもとに書き上げたこの小説は、単なる創作ではなく実体験に基づいた生々しいリアリティを持っています。
監督は、これまで『悪人』(2010)、『怒り』(2016)で吉田修一とタッグを組んできた李相日。3度目にして最高傑作の呼び声高い『国宝』に挑みました。
映画化の構想には6年もの歳月が費やされ、李相日監督は吉沢亮の存在が映画化の決め手となったとコメントしています。
吉沢亮の持つ美しさと虚しさを併せ持つ妖艶な存在感が、稀代の女形・立花喜久雄を演じる上で不可欠であったと語られています。
李監督は「吉田さんの最高傑作を、どう映像で表現するのか。大きな挑戦です」と語り、並々ならぬ覚悟で製作に臨んでいます。
役作りのため、吉沢は1年以上前から歌舞伎の稽古を開始。立ち回りや所作はもちろん、女形としての表現を徹底的に追求しています。
撮影現場では、振付師・谷口裕和の指導のもと、「二人藤娘」「曽根崎心中」をはじめとする歌舞伎の人気演目を、吉沢と横浜が吹き替えなしで演じています。
さらに、四代目中村鴈治郎が歌舞伎指導として参加し、俳優陣に緻密で繊細な所作を指導し、作品のリアリティを高めています。
6. 国内外の評価
🌎 海外メディア評価
カンヌ国際映画祭「監督週間」に選出されています。
海外メディアからは「伝統芸能を現代的な映像美で再構築した傑作」「主演二人の演技が圧巻」と高評価で、上映後には満席の会場が拍手に包まれました。
日本国内評価
Filmarksでは、現在レビュー数42,657件、平均スコア4.4点という極めて高い評価を獲得しています。この数値は近年の日本映画としては異例の高評価で、観客の満足度の高さを裏付けています。
6月22日までの公開17日間で観客動員152万人、興行収入21.4億円を突破する大ヒットで、50億超えも確実でしょう。
7. レビューと関連作品
女形を演じることになる二人の人生を描くが、安直な友情物語などではなく、芸のためには反発し苦しみながらも、どこまでも精進する姿を描いています。
清濁併せ呑んだような生き様だけが、芸の高み=国宝へと続き、それだけに単純な価値判断ではその善悪が判じられるわけではなく、と同時に、(私のような)一般庶民はその生き方に、ただただ圧倒されます。
最後の国宝に至った時に見える景色、それは(以前聞いた)オリンピック陸上のゴールドメダリストのセリフと重ります。
無駄なシーンもカットも無く、隅々まで作り込まれたセットや舞台、昭和を感じさせるロケ、心象の機微を捉えると同時に美しいカメラ、力強いながらも繊細に感情の奥底まで掬い取った演出、被さる音楽のバランスの見事さ、奥深いセリフでその生き様を描く脚本、そして全身全霊で演技しきった吉沢亮と横浜流星の熱量は、見事としか言いようがありません。
脇を固めた、渡辺謙、寺島しのぶ、田中泯の存在感も圧巻。
特に歌舞伎界が出自である寺島の演技には、その心情が吐露されているようで、リアルです。
邦画にはテレビの延長のような作品が多く、ビデオ(サブスク)でも十分と思う作品が多いのですが、本作は劇場でこそ観るべき堂々たる芸術作品です。
どこをとっても100点の映画であり、国内はもとよりカンヌやアカデミーなど海外のどの賞をとっても不思議ではない完成度です。
こんな作品を作れる力が、今もまだ邦画界にある事が素直に嬉しいですね!
🍿 関連作品レコメンド
同ジャンル/テーマ
- 『残菊物語』 (1939)
歌舞伎の世界を舞台に、芸の道に生きる人々の葛藤を描いた溝口健二監督の不朽の名作です。 - 『覇王別姫 さらば、わが愛』(1993)
京劇の世界で生きる役者の壮絶な愛憎劇。
本作が描く歌舞伎の世界と通じる、伝統芸能に人生を捧げた人々の宿命が描かれています。
同監督作
- 『悪人』(2010)
吉田修一原作の最初の映画作品。
人間の複雑さを描く手法が本作に通じています。 - 『怒り』(2016)
同じく李相日×吉田修一コンビ作品。
重厚な人間ドラマの作風が『国宝』の前哨戦とも言える作品です。
🔗 参考文献・リンク
映画『国宝』公式サイト
カンヌ国際映画祭公式発表
シネマトゥデイインタビュー記事
オリコンニュース映画評
原作:吉田修一『国宝』(朝日新聞出版)
🔄 更新情報
更新:2025年6月24日 – 初版作成、、
原作未読です。
主演二人の演技は凄い努力の成果だと思います
壮絶な運命の物語です。
歌舞伎の裏、表の勉強になります
3時間という長さ
席を途中で立たれる方。仕方ないですね。