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レビュー
1. 作品概要と魅力
📝 あらすじ
暴力的な手法で事件を追う刑事・我妻。ある殺人事件をきっかけに、彼の内面と社会の歪みが露わになっていく。
💎 本作の魅力
- たけしの衝撃的監督デビュー
当時人気絶頂のお笑いタレントであったビートたけしが、北野武名義で監督を務めました。 - 北野映画の原点となる演出スタイル
その後の作品群に通じる乾いた暴力描写と、独特の「間」が既に本作で確立されています
。 - ダーティハリーを超える凶暴性
犯罪者への容赦ない暴力、警察組織への不信、個人的復讐の貫徹が、刑事映画の新境地を開拓しました。
2. おすすめ視聴ポイント
✅ こんな人におすすめ
- 北野武監督のファン
『ソナチネ』『HANA-BI』『アウトレイジ』シリーズへと繋がる、独自の演出様式が随所に見られます。 - ハードボイルド、バイオレンス映画のファン
『 ダーティハリー』や『バッドルーテナント』にも通じる、反体制的警官像が描かれています。 - 1980年代末の日本映画史に興味がある方
興行的成功を収め、バブル期の日本映画界に新風を吹き込んだ記念碑的作品です。
⚠️ 注意点
- 過激な暴力描写があります。
金属バットによる殴打、薬物中毒など生々しい暴力シーンが多数あります。 - 説明を省いた寡黙な演出スタイル
台詞による説明が極端に少なく、登場人物の心理描写は映像解釈に頼る部分が大きくなっています。 - 娯楽性よりも芸術性重視
勧善懲悪のカタルシスや派手なアクションではありません。
3. 製作エピソード
本作は元々、奥山和由プロデュースで深作欣二監督、ビートたけし主演という企画でしたが、深作監督が2ヶ月連続での撮影を要求したのに対し、7本のレギュラー番組を抱えるたけしのスケジュール調整がつかず降板。
そのためプロデューサーの奥山和由がたけしに監督を依頼。たけしは脚本を大幅に変更し、北野武名義で監督を務めることとなった。
しかし、1986年、たけしは週刊誌フライデーが彼の女性関係を報道したことに激怒し、11人の仲間と共に編集部を襲撃する事件を起こします。
これにより、1987年に予定されていた撮影は延期となり、たけしは公の場から数ヶ月姿を消しますが、1989年に本作で映画監督として鮮烈な復帰を果たしました。
松竹は当初、配給・製作・資金提供を予定していましたが、フライデー事件の影響で製作から撤退。
奥山プロデューサーは制作会社を探し回り、最終的にバンダイが資金提供を決めます。
しかし、当時「母と子のバンダイ」をキャッチコピーにしていた同社は、暴力的な映画にクレジットを出すことを躊躇し、資金は提供するがスポンサー名は出さないという条件で製作が進められることになりました。
(ちなみに、この作品の成功によって、この後もバンダイと奥山プロデューサーで、バイオレンスアクション作品が製作されていきます)
相棒刑事・菊池を演じる芦川誠は、北野武と草野球チームで知り合ったことがきっかけで起用、また、遠藤憲一や寺島進といった、後に実力派俳優となる若手が脇役で出演し、北野組の原型が形成されました。
4. 国内外の評価
🌎 海外メディア評価
本作は1999年にアメリカで劇場公開され、『Violent Cop』の英題で海外市場に進出、北野監督独自の静謐な演出スタイルが高く評価されました。
RogerEbert.comでは北野武監督作品全体が取り上げられており、後の『HANA-BI』『座頭市』などで高評価を獲得しています。
批評家のデニス・シュワルツは「もし暴力を知的なドラマと一緒に楽しみたいなら、この ペースの良い映画は満足できる作品だ」と評価。
ダーティハリーよりも不安定で暴力的な主人公像が、観客を惹きつける不思議な魅力を持つと評価しています。
In Review Onlineは「本作はアイデアとしては単純で、プロットも特筆すべきものではないが、北野の新生スタイルが作品を高めている」と分析。監督としても俳優としても独特のスタイルを確立した処女作であると評しました。
BFIは「暴力的で容赦のない物語だが、北野のトーン習得の技巧は疑いようがない」と述べ、お笑い芸人からシリアスな映画作家への転身に10年を要したことを指摘しています。
Chicago Tribuneは「北野の演出は恐ろしくもユーモラスで、奇妙に感動的」と評しました。
🇯🇵 日本国内評価
キネマ旬報では賛辞一色で、評論家の山根貞男は「当時数多く登場していた有名人の新人監督の一人と見くびっていたが、徹底したハードな暴力描写に度肝を抜かれた」とし、突出した新人監督だと才能を評価した。
監督予定だった深作欣二も「面白かった」と感想を述べ、淀川長治はカメラワークがジュールス・ダッシン作品を感じさせたと述べています。
興行成績は配給収入5億円を記録し、お笑い芸人の初監督作品としては異例の成功を収めています。
5. 総合レビューと関連作品
💯 総評
「お笑い芸人のたけしが監督…?」
そう思って見始めたとたん、そのダークな世界観に打ちのめされます。
闇を抱えたキャラクター達、全体を覆う虚無感、噴出する容赦のない暴力、カタルシスも、薄っぺらな完全調和的な人間ドラマも一切ないストーリー展開は衝撃的でした。
あのたけしの裏側に、こんな絶望に覆われた世界観があったことに驚かされます。
物語の展開はやや断片的で疾走感に欠ける部分はあるものの、「アウトレイジ」と並んで、クライムムービーとして海外の作品にも決して劣らない傑作です。
🍿 関連作品レコメンド
同ジャンル・テーマ作品
- 『仁義なき戦い』(1973)
本作で監督予定だった深作欣二の代表作。
日本のバイオレンス映画の金字塔で、容赦ない暴力描写の系譜。 - 『ダーティハリー』(1971)
クリント・イーストウッド主演の刑事映画の金字塔。
ルールを無視する刑事像の原型です。 - 『バッドルーテナント 』(1992)
ハーヴェイ・カイテル主演の腐敗した刑事を描く問題作で、道徳的境界線を越える警官像が描かれます。
同監督作品
- 『ソナチネ』(1993)
沖縄を舞台としたヤクザの抗争が、暴力と静謐の極致で描かれています。 - 『HANA-BI』(1997)
ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞した国際的代表作です。 - 『アウトレイジ』(2010)
北野武監督後期の代表作。
今までの作風を踏襲しながらも、群像劇となり娯楽色が強くなっています。
参考文献・リンク
Roger Ebert.com、Metacritic、Rotten Tomatoes、IMDb、MovieWalker Press、MSCREEN ONLINE、Variety、The New York Times、キネマ旬報、The Hollywood Reporter、In Review Online、BFI(British Film Institute)、Dennis Schwartz Reviews、allcinema、映画.com、Wikipedia、松竹公式サイト
更新情報
2025年11月13日: 初回投稿
2025年11月14日: 第2稿投稿

