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レビュー
1.本作の魅力:注目ポイント
- スティーヴン・セガール初主演作
合気道をベースとした独自のアクションスタイルが斬新です。 - 骨太なポリティカル・サスペンス
ベトナム戦争やCIAの暗部にも言及し、単なるアクション映画に留まらない深みがあります。 - 80年代の空気感を満喫
当時のシカゴを舞台にした映像が魅力的で、ファッションや音楽にも時代性が溢れます。
2. こんな人におすすめ
✅ おすすめ
- リアルなアクションファン。
CGやワイヤーに頼らない本物の技が見たい方。
合気道の関節技や投げ技は圧巻です。 - 80年代のアクション映画が好きな方。
当時の雰囲気を色濃く残した、熱い展開が楽しめます。 - 勧善懲悪の映画を求めている方。
悪を徹底的に叩きのめす爽快感があります。
⚠️ 注意点
- 暴力描写が苦手な方。
骨折などの描写が生々しいです。 - 緻密なプロットを求める方。
物語にはご都合主義的な部分も見られ、勢いで押し切る展開が中心です。 - 派手さを期待する方。
映像や音楽はやや時代を感じさせ、現代的な派手さはありません。
3. 物語とテーマ
📝 あらすじと概要
元CIA工作員で合気道の達人であるシカゴ市警の刑事ニコ・トスカーニ。
違法薬物事件を追う中、CIAによる陰謀と政界の暗殺計画に迫ることになります。
💭 テーマと構造
本作のテーマは「法の限界と正義の追求」。
法が及ばない領域で暗躍する権力者に対し、ニコが個人的な正義を貫く姿を描きます。
物語はシンプルな勧善懲悪の構造で、ニコの過去の経験が現在の行動原理に繋がる構成となっています。
4. 映像・音響表現と演出
本作の映像は、80年代アクション映画らしい骨太なリアリティを追求しています。
シカゴのロケーション撮影はリアルで重厚な雰囲気です。
特にスティーヴン・セガールによるワイヤーワークもCGもない、リアルな合気道アクションは、その後の彼の作品の基礎を築きました。
カメラワークは彼の動きを際立たせるため、長回しやクローズアップを多用し、その破壊力を強調しています。
音響面では、打撃音や骨の折れる音が効果的に使われ、アクションの生々しさを増幅させています。
また、デヴィッド・マイケル・フランクによるテーマ曲は、ニコの孤独な戦いを彩り、映画全体の雰囲気を盛り上げています。
5. 製作エピソード
『刑事ニコ/法の死角』は、合気道家として知られていたスティーヴン・セガールの記念すべき映画初主演作です。
彼は本作で主演だけでなく、原案と製作にも名を連ね、自身の武術スタイルをスクリーンに持ち込むことに成功しました。
セガールは、ロサンゼルスでセレブ向けの武術指導をしていた際に、著名なエージェントであるマイケル・オービッツの目に留まり、この映画の製作が実現しました。
監督のアンドリュー・デイヴィスは、セガールの武術に注目し、彼の合気道を最大限に活かすアクションシーンを構築しました。
映画の冒頭、ニコが道場で合気道を披露するシーンは、セガールの実際の道場での指導風景を彷彿とさせ、彼の武術家としてのバックグラウンドを強く印象付けます。
また、劇中にはセガールが流暢な日本語を話す場面もあり、彼の日本での修行経験が反映されています。
物語の根幹には、CIAの腐敗や政府の陰謀といった社会的なテーマが盛り込まれており、そのためセガール自身がCIAとの関わりを持っていたという噂は有名です。
真偽は不明ですが、物語にリアリティを与えました。
(実際は、CIAで合気道を教えた、程度のようですが)
セガールは撮影中も自身のスタントをこなし、その身体能力の高さを見せつけました。
この作品の成功が、その後のセガールのアクションスターとしての地位を確立する大きな一歩となりました。
デイヴィス監督は後のインタビューで、「セガールは本物の武道家としての哲学を持っており、それが画面に表れている」と語っています。
また、セガール自身も「この作品で僕が表現したかったのは、武術の精神性と現実世界での正義感の融合だった」とコメントしています。
ニコの妻サラ役には、ブレイク前のシャロン・ストーンが起用されています。
6. 国内外の評価
🌎 海外メディア評価
1500万ドルの製作費に対し、約1890万ドルの興収があり、興行的に成功、セガールは一夜にしてアクションスターの仲間入りを果たしました。
しかし、一方で批評家の評価は賛否が分かれました。
Rotten Tomatoesでは、批評家からの評価は賛否両論ですが、彼の合気道アクションの独自性は評価されています。
評論家のRoger Ebertは、「セガールには説得力のある静かな権威がある」「アクションシーンは効果的でエキサイティングだ」と、セガールの存在感とアクションを高く評価。一方でプロットの陳腐さを指摘しました。
The Washington Post紙は、「暴力的で、独善的で、不快な映画だ」と、ニコの超法規的な正義の描き方を批判。
IMDbのユーザーレビューでは、「深みはないが楽しい」「プロットはうまく進み、ユーモアも豊富で、武術シーンは非常によくできている」といった肯定的な意見が見られる一方で、「プロットは馬鹿げている」といった厳しい意見もあります。
🇯🇵 日本国内評価
日本では、「セガール拳」と呼ばれる独特のアクションが話題になり、多くのファンを獲得し、人気を不動のものにしました。
海外のような倫理的な批判はあまり見られず、むしろ「法で裁けぬ悪を倒すヒーロー」として支持され、その
痛快な勧善懲悪の物語が国民性に合ったようです。
後の「沈黙」シリーズへと続く人気の礎を築きました。
テレビでの放映回数も非常に多い作品となっています。
7. レビューと関連作品
💯 レビュー
何と言っても、スティーヴン・セガールの記念すべきデビュー作で、強烈なインパクトがありました。
セガール作品の中でも、本当にアクションの切れが良い”セガール拳”を堪能出来るのは、(太りだす前の)数作のみですが、合気道をここまで上手く取り入れたアクション映画は数少ないでしょう。
全くピンチに陥る事のないヒーロー像は見ていて爽快感があり、80年代アクション映画の魅力が凝縮されています。
「スターウォーズ」など海外からの依頼が多かった、生頼範義氏のイラストもカッコイイです。
🍿 関連作品レコメンド
同ジャンル/テーマ
- 『沈黙の戦艦』(1992)
デイビス監督とセガールが組んだ最大のヒット作。アクションとサスペンスが見事に融合しています。 - 『リーサル・ウェポン』(1987)
80年代を代表する刑事アクションで、CIA=巨悪という設定など、共通点があります。
同監督作
- 『野獣捜査線』(1985)
アクションスターであるチャック・ノリス主演で、本作と同じくシカゴが舞台の刑事アクションです。
ヘンリー・シルヴァがこちらでも悪党!
🔗 参考文献・リンク
IMDb – Above the Law (1988)
Wikipedia – 刑事ニコ/above the Law
Black Belt Magazine,AllMovie,AFI Catalog
Born to Watch,Apocalypse Later Film Reviews
更新情報
2025年7月29日: 初回投稿