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E.T.

宇宙と地球を繋ぐ、永遠の友情

公開年:1982 年

原題:E.T. the Extra-Terrestrial

上映時間 115 分

制作国:アメリカ

監督:スティーブン・スピルバーグ

出演:ヘンリー・トーマス

ストーリー:

取り残された異星人と少年の心温まる交流を描く。

🏆 第55回 アカデミー賞(1983年):作曲賞、視覚効果賞、音響賞、音響効果編集賞

🏆 第40回 ゴールデングローブ賞(1983年):最優秀作品賞、最優秀作曲賞

Rottenn Tomatos評価

99%

iMDb評価

Filmarks評価

サイト評価

コメント

🌟 1. 本作の魅力:注目ポイント

 

  1. スピルバーグ監督の演出

    カメラの低いポジションを多用し、子供と同じ目線で物語を体験させる工夫が随所に見られます。

    それにより子供の頃の普遍的な感情と、未知の存在との交流が繊細に描かれた「現代のおとぎ話」とも言える作品となっています。

    ファンタジーでありながら、サスペンスやユーモア、そして感動が絶妙なバランスで織り交ぜられています。

  2. カルロ・ランバルディによる造形

    革新的な特殊効果で創り出されたE.T.の姿は、40年以上経った今でも説得力があり、「人間の俳優よりも表現力豊かで感情的」と評される存在感を放っています

  3. ジョン・ウィリアムズの音楽

    美しい映像と一体となり、映画史に残る感動的なシーンを生み出しています。

👤 2. こんな人におすすめ

おすすめ

  • 心温まるSFファンタジー作品を求めている方
  • 家族で楽しめる映画を探している人
  • ノスタルジックな80年代映画が好きな方
  • スティーブン・スピルバーグ監督のファン
  • 映画史上の名作を体験したい方
  • 特殊効果の歴史や進化に興味がある方
⚠️ 注意点

  • 一部のシーンで、子供たちが危険な状況に置かれる描写があります。
  • 現代の特殊効果からみると、一部古さを感じる可能性があります。
  • 派手なアクションやCGを期待すると物足りなく感じる可能性あり。

🧠 3. 物語とテーマ

あらすじ

エリオットと兄妹は、迷い込んだ地球外生命体E.T.と出会い、秘密の友情を育みます。
しかし、E.T.の存在は大人たちに知られ、追われることになります。

 

テーマ

「E.T.」は、表面的には異星人と少年の交流を描く物語ですが、その核心には友情、家族の再生、そして「他者」との関わり方というテーマが存在します。

特に、「異質なもの」に対する”恐怖と受容”という普遍的テーマが、冷戦時代の社会背景と重ねられています。

スピルバーグは子どもの視点を通じて、大人社会の硬直した価値観を批判し、純粋な心の重要性を訴えかけています。

 

構造

 

物語は一貫して子どもたちの目線から描かれ、大人は顔が見えないショットで表現されるなど、視覚的にも「子どもの世界」と「大人の世界」を対比させる構造になっています。

この作品は、古典的な「英雄の旅」の物語構造を持ちながらも、1980年代の郊外の日常生活が舞台になっている点が特徴的です。

 

🎬 4. 演出と技術の評価

 

映像表現

スピルバーグ監督は子どもの視点を表現するために低いカメラポジションを多用し、観客にE.T.と子どもたちの目線を共有させています。

夕焼けを背景にしたシルエットや、夜空の月をバックに自転車が飛ぶ象徴的な場面は、E.T.の瞳に映る光の表現とともに、細部まで計算された感情表現となっています。。

 

音響設計

 

ジョン・ウィリアムズのスコアは、物語の情感を見事に高め、アカデミー作曲賞を受賞しました。

特に印象的なのは、「フライング・テーマ」と呼ばれる自転車が飛行するシーンの高揚感あふれる旋律で、映画の象徴的な瞬間をさらに強化しています。

効果音も、E.T.の独特な呼吸音や、子供たちの自転車が空を飛ぶ際の浮遊感など、物語をリアルに感じさせる重要な要素となっています。

 

美術・衣装

 

カルロ・ランバルディによるE.T.のデザインと特殊効果はアカデミー視覚効果賞を受賞しました。

特筆すべきは、E.T.の表情や動きの繊細さで、CGIに頼らない実物の人形(パペット)ながら、「人間の俳優よりも表現力豊かで感情的」と評される存在感を放っています。

E.T.の茶色い皮膚や、長い首、大きな目は、未知の生命体でありながらも、どこか親しみやすい印象を与えます。

 

象徴的なシーンの演出

 

自転車が月の前を横切って飛ぶシーンは、映画史上最も有名な場面の一つです。

逆光を利用したシルエットや、スローモーションの効果が、幻想的な美しさを際立たせています。

(スピルバーグが創立した映画製作会社「アンブリン・エンターテインメント」のロゴはこのシーンです)

また、E.T.が指先を触れ、「E.T. phone home」と発するシーンは、言葉を超えたコミュニケーションの象徴として深く印象に残ります。

 

🌍 5. 海外の視点と製作の舞台裏

 

海外メディアの評価

 

「E.T.」は批評家から絶賛され、Rotten Tomatoesでは99%、Metacriticで91 点と非常に高いスコアを維持しています。

Variety誌は、本作公開当時、「スピルバーグは、子供たちの想像力と感情を捉える天才的な手腕を改めて示した」と絶賛しました。

エンターテインメント・ウィークリーは「私たちが自分自身について考える方法を変えた」作品として評価。

IndieWireは「E.T.は単なるSF映画ではなく、孤独と友情という普遍的なテーマを描いた感動的な物語だ」と評しています。

著名な批評家Roger Ebertは「E.T.の大きな瞳は、観客に深い感情的な共感を呼び起こす」と述べています。

 

製作エピソード

 

スピルバーグ監督は、自身の子供時代の空想や、妹との絆からインスピレーションを得て本作を制作したと語っています。

また、両親の離婚体験をベースに、孤独な子供の視点を描いたそうです。

当初は異なる設定でこの物語を構想していましたが、「未知との遭遇」の特殊効果を担当したカルロ・ランバルディと再びタッグを組み、E.T.のデザインと特殊効果を作り上げました。

E.T.の独特な動きは、様々な動物の動きを参考にして作り上げられました。

E.T.の声を担当したパット・ウェルシュは、喉の病気を抱えながらも、独特の音色でE.T.の感情を表現しました。

エリオット役であるヘンリー・トーマスのオーディションは、演技の即興性と感情表現の豊かさでスピルバーグを感動させ、キャスティングが決まったというエピソードが有名です。

スピルバーグ監督は撮影中、自然な演技を引き出すために、子供たちと緊密なコミュニケーションを取り、即興的な演出も多く取り入れたと言われています。

2002年の20周年記念版では、一部シーンにデジタル加工を施しましたが、ファンの反応を受けて、後に元の版に戻すという経緯もありました。

 

日本国内の評価

 

日本では1982年12月に初公開され、公開当時から幅広い層に受け入れられ、大ヒットを記録しました。

海外と同様に、エリオットとE.T.の友情に感動する声が多く、SFファンだけでなく、ヒューマンドラマを好む観客からも高い評価を得ています。

2025年1月には「スティーヴン・スピルバーグ IMAX映画祭」のプログラムとして、初のIMAX版が上映されています。

 

🔗 6. 関連作品レコメンド

 

同ジャンル/テーマ

 

  • 『未知との遭遇』(1977年)
    同じくスピルバーグ監督による、地球外生命体とのコンタクトを描いたSF映画。
    こちらはより大人向けのアプローチです。

  • 『スタンド・バイ・ミー』(1986年)
    子供たちの友情と冒険、成長を描いた青春映画。本作同様、子供たちの純粋な絆が感動を呼びます。
同監督作

  • 『ジュラシック・パーク』(1993年)
    特殊効果と子どもの視点を融合させた冒険作品で、圧倒的な映像技術とスリル満点の展開が魅力です。

  • 『A.I.』(2001)
    「人工知能と人間性について問いかける作品で、異質な存在と人間の関係性という点で共通するテーマを持ちます。

🤔 7. レビュー

 

『E.T.』は、単なるSFファンタジーの枠を超え、普遍的な友情と孤独を描いた感動的な物語として、世代を超えて愛され続ける不朽の名作です。

「異質なものへの恐怖と受容」、純粋な「友情の力」という普遍的テーマは、時代や文化を超えて共感を呼び、これからも多くの世代に愛され続けることでしょう。

「ジョーズ」では、圧倒的なサスペンスパニック(のちに「ジュラシック・パークへと昇華)、「未知との遭遇」では、異星人とのコンタクト(本作の大人版)、「レイダーズ」では往年の冒険アクション…。

作品による好みはあるでしょうが、まさに天才にふさわしい稀代の監督というのは確か。
今後、どのような作品を撮ってくれるのか楽しみです。
(2025年現在で78歳、まだまだ頑張ってほしいですね!)

関連リンク

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SEBS
SEBS
17 days ago

あのシーン、あの曲が流れると
心弾みます
説明はいらない傑作です

これからの若い人、子ども達にも観て欲しいです。

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