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レビュー
1. 本作の魅力:注目ポイント
- 豪華絢爛たる一大エンターテイメント
潤沢な製作費を背景とした大型エンターテイメント映画として、従来の時代劇の枠を超えた挑戦的な作品です。 - 深作欣二監督によるダイナミックな演出
エネルギッシュな殺陣は圧巻で、熱量の高いドラマが繰り広げられます。 - 時代を象徴するキャスト
薬師丸ひろ子と真田広之の瑞々しい魅力に加え、千葉真一らジャパンアクションクラブの精鋭に、京本政樹、夏木マリなどの豪華キャストです。
2. こんな人におすすめ
✅ おすすめ
- 80年代の日本映画が好きな方。
邦画が最も輝いていた時代、そして角川黄金期の作品です。 - 壮大なファンタジー活劇を観たい方。
宿命を背負った者たちの物語で、日本の原風景と幻想的な世界観が楽しめます。 - 派手な特殊メイクとアクション。
妖怪造形やJACの剣戟が迫力満点。
⚠️ 注意点
- 原作『南総里見八犬伝』とは別物です。
大胆な脚色が加えられており、新たな解釈の物語として楽しむ視点が必要です。 - レトロな特撮技術。
CG以前の手作り感満載の、アナログな特撮が中心です。 時代劇の伝統美よりもエンタメ性重視。
時代劇特有の”義理人情”を求める方は物足りないかもしれません。
3. 物語とテーマ
📝 あらすじと概要
里見家の姫・静姫が、悪霊に滅ぼされた一族の復讐を誓い、八犬士を探す旅に出ます。
運命に導かれた八犬士が集結し、強大な敵に立ち向かう壮大な物語です。
💭 テーマと構造
本作の中心テーマは「宿命と絆」です。
八犬士がそれぞれの運命を背負い、互いの絆を深めながら困難を乗り越える姿を描きます。
物語は静姫の旅を軸に、八犬士との出会いを重ねることで展開し、悪との最終決戦までを直線的に描く王道の構成です。
4. 映像・音響表現と演出
深作欣二監督による映像は、80年代の日本映画としては画期的なスケール感を持っています。
特撮技術を駆使した妖怪との戦闘シーンや、広大な自然を背景にしたロケーション撮影は、観る者を物語の世界へ引き込みます。
衣装や美術も豪華絢爛で、細部まで作り込まれた世界観が、物語に説得力を与えています。
また、本作は音響も印象的です。シンセサイザーを駆使した劇伴音楽が、ファンタジー色を強調。
そして、ジョン・オバニオンが歌う主題歌『里見八犬伝』のバラードが、作品に無国籍な雰囲気をもたらしています。
5. 製作エピソード
『里見八犬伝』は、1980年代の角川映画を象徴する一大プロジェクトでした。当時の角川春樹社長は「映画は娯楽の王様」という信念のもと、巨額の製作費を投じました。その額は当時としては破格の10億円。
滝沢馬琴の『南総里見八犬伝』を現代的にアレンジした鎌田敏夫の『新・里見八犬伝』を原作とし、深作欣二監督と鎌田敏夫が共同で脚本を執筆しました。
本来は難解な原作を、若者向けのスペクタクル・ロマンとして再構築してあります。
主演には、当時絶大な人気を誇った薬師丸ひろ子と、アクションスターとして頭角を現していた真田広之を起用。
二人の瑞々しい魅力は、作品の大きな求心力となっています。
また、真田が所属するジャパン・アクション・クラブ(JAC)が全面的に参加。千葉真一の指導のもと、吹き替えなしのリアルなアクションが実現しました。
撮影は困難を極め、特に北海道で行われた大規模なロケでは、天候不順に悩まされたといいます。
クライマックスの城のセットは、オープンセットとしては当時日本最大級の規模で、深作監督は、自身の代名詞である手持ちカメラやクレーンを駆使し、ダイナミックな映像を作り上げています。
海外市場も強く意識されていました。
主題歌にアメリカの歌手ジョン・オバニオンを起用したのもその一環で、この戦略は功を奏し、映画と共に主題歌も大ヒットを記録しています。角川映画のメディアミックス戦略の成功例の代表でしょう。
新型特殊メイクの導入など斬新な試みも多かったこともあり、日本初の特殊メイククレジット表示が行われた作品です。
また、年末興行の目玉として集中的な宣伝が行われました。
6. 国内外の評価
🌎 海外メディア評価
海外では「Legend of the Eight Samurai」のタイトルで公開され、日本の古典文学の映画化として一定の注目を集めました。
特にアクション演出と独特な世界観が評価される一方で、物語の複雑さや文化的背景の理解に困難を示す評価もありました。
2024年に ScreenRant が「1980年代ベスト・ファンタジー武侠映画」に選出しています。また、Blu-rayレビューでは、その“奇抜さ”が評価され、「アートとポップが融合した唯一無二の作風」と称されています。
🇯🇵 日本国内評価
本作は1983年12月に公開され、1984年の邦画配給収入で第1位となる23.2億円を記録しました。
これは当時の角川映画としても最大のヒット作の一つです。
映画評論家からは、エンターテイメント性の高さや、深作監督のエネルギッシュな演出が高く評価されました。
第8回日本アカデミー賞では、美術、照明、録音の3部門で優秀賞を受賞。技術的な完成度の高さも証明しました。
映画ファンからの支持も厚く、80年代を代表する日本映画として広く認知されています。
7. レビューと関連作品
💯 レビュー
本作は、時代劇という枠を飛び超えた和製ファンタジーで、深作欣二監督の熱量が、画面から伝わってきます。
壮大な物語に、SF的な要素、友情・愛情・義理・運命のドラマを詰め込み、剣技アクション、呪縛・悪霊・妖怪などガジェット満載のなんでもありの時代劇オペラになっています。
特撮やセットは今見ればレトロ感があり、ドラマもツッコミどころは満載ですが、それすらも80年代という時代の特徴。
現在の邦画ほど完成度は高くないものの、大作感やパワーがある娯楽作品が多かった、邦画が最も輝いていた時代の代表作の一つと言えるでしょう。
🍿 関連作品レコメンド
- 同ジャンル/テーマ
『魔界転生』(1981)
同じ深作監督と角川映画が組んだ伝奇ロマン。
本作よりもダークで妖艶な雰囲気です。
『帝都物語』(1988)
伝奇ロマンとSF要素が融合した作品で、日本の歴史や伝承を題材にした壮大な物語が好きな方にはおすすめです。 - 同監督作
『バトル・ロワイアル』(2000)
深作欣二監督の代表作の一つで、過激な描写と社会への鋭いメッセージが特徴です。
🔗 参考文献・リンク
キネマ旬報データベース
IMDb “Legend of the Eight Samurai”
日本映画製作者連盟 過去興行収入上位作品
wikipedia「里見八犬伝 (1983年の映画)」
映画.com、allcinema、Filmarks
更新情報
2025年8月9日: 初回投稿
角川三人娘の中では原田知世派だったので、あまり乗り気ではなかったけどファンタジー好きなので鑑賞した記憶が…ストーリー、アクションとも中途半端であまり評価しませんでした。
特に倒れた巨大な柱が人が寄りかかっただけでグラグラしたのはちょっと萎えました。