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レビュー
1. 本作の魅力
- 異色キャスト
ロック界の巨匠デヴィッド・ボウイと音楽家坂本龍一、ビートたけし、異例のキャストが織り成すドラマ。 - 普遍的なテーマ性
戦争という極限状況下における人間性、文化衝突、そして理解への希求という普遍的な問い。 - 坂本龍一の音楽
メインテーマは、映画音楽の傑作のひとつです。
2. おすすめ視聴ポイント
✅ こんな人におすすめ
- 戦争映画ファン。
従来の戦争映画の枠組み超えたドラマです。 - 文化論愛好家
日本と西洋の精神性が交錯する描写は考察の深みを与えます。 - デヴィッド・ボウイや坂本龍一のファン
俳優としての新たな一面と、音楽が融合した芸術性を堪能できます。
⚠️ 注意点
- 暴力描写や精神的な葛藤が描かれるため、刺激に敏感な方は心構えが必要です。
- 物語のペースは比較的ゆっくりと進行し、内面描写が多いため、アクション性を期待すると物足りなく感じるかもしれません。
- 公開当時の時代背景や価値観が反映されているため、現代の視点から見ると一部表現に戸惑う可能性もあります。
3. 物語とテーマ
📝 あらすじと概要
第二次世界大戦下、ジャワ山中の日本軍捕虜収容所を舞台に、日本軍将校と連合国軍捕虜たちの間に繰り広げられる葛藤と交流を描きます。
日本語を解する英国人捕虜ロレンス(トム・コンティ)が通訳役として、日本軍将校ヨノイ(坂本龍一)と英軍少佐セリアズ(デヴィッド・ボウイ)間の文化的対立を調停しようとします。
💭 中心テーマ
本作のテーマは文化間理解の困難性と可能性です。
武士道精神と西欧個人主義、規律と自由、名誉と生存といった対立軸を軸に、異文化理解への困難と希望を描写しています。
4. 製作エピソード
原作は南アフリカ共和国の作家、ローレンス・ヴァン・デル・ポストの短編集『影の獄にて』収録の「影さす牢格子」(1954年)と「種子と蒔く者」(1963年)に基づいています。
作者自身のジャワ島での、日本軍捕虜収容所体験を描いたもので、その実体験的要素が作品リアリティを支えています。
プロデューサーのジェレミー・トーマスは、この原作に惚れ込み、かねてより国際的な評価を得ていた大島渚監督に白羽の矢を立てました。
大島渚監督は本作を真の国際合作映画として企画し、各国の才能を結集させました。
当初、主演にはロバート・レッドフォードが検討されていましたが、大島瑛子氏が「危険なところがなく、役には合わない」と感じたため、デヴィッド・ボウイが起用されることになりました。
さらに坂本龍一という音楽界の巨匠を演技と音楽両面で起用、ビートたけしという日本コメディ界巨匠の劇映画初出演も大きな注目を集めました。
特にビートたけしの配役は当時、大きな驚きをもって迎えられましたが、大島監督は彼の持つ暴力性とナイーブさの両面を見抜いていたと言われます。
ビートたけしは、本作への出演がきっかけで国際的な知名度を得ることとなり、後に監督としても世界的に評価される道を歩むことになります。
坂本龍一の訃報に際し、北野武は「『戦場のメリークリスマス』は俺だけになってしまいました」とコメントし、深い悲しみを表明しています。
(大島渚2013年、デヴィッド・ボウイ2016年、坂本龍一2023年、死去)
製作資金は、ニュージーランドと日本の合作という形で調達され、ニュージーランドの税制優遇措置を活用するために、撮影はニュージーランドおよびクック諸島のラロトンガ島で行われました。
現地の自然環境を活用した収容所セットが製作されました。
5. 国内外の評価
🌎 海外メディア評価
第36回カンヌ国際映画祭に出品され、グランプリ最有力と言われながらも受賞は逃しています。
(この年の受賞作は、今村昌平監督の「楢山節考」)
IMDbやRotten Tomatoesは高評価の一方で、Metacriticにおいては、53/100という平均的スコア。
RogerEbert(シカゴ・サンタイムズ)は、本作に4つ星満点中3.5つ星を与え、「この映画は、異文化から学ぶために必要な『自己の放棄』についての物語なのだ」と評し、単なる文化の衝突を描いた作品ではないと、その深いテーマ性を指摘しています)。
海外批評家からは文化的境界を超越した普遍的人間ドラマとして評価され、特に東西文化対話の複雑さを繊細に描いた点が高く評価されています。
🇯🇵 日本国内評価
1983年5月28日公開され、日本国内では興行的に大成功を収めました。
1983年の配給収入は59億円に達し、同年の邦画で第2位を記録するヒットとなりました。
この成功は、デヴィッド・ボウイや坂本龍一といったスターの集客力に加え、作品の持つ芸術性が多くの観客の心を捉えた結果と言えるでしょう。
毎日映画コンクールでは日本映画大賞や監督賞など主要部門を独占しました。
現在では、日本映画界における国際合作映画の先駆的作品として位置付けられています。
6. 総合レビューと関連作品
💯 総評
『戦場のメリークリスマス』は、戦争映画という枠組みを超え、極限状態での異文化間の人間性を探求した作品となっています。
大島島渚監督の鋭い洞察力と国際的キャストが生み出す緊張感は、40年経過した現在でも色褪せない普遍性を保持しています。
デヴィッド・ボウイ、坂本龍一、ビートたけし、いずれも本職の俳優でないにもかかわらず、その演技はどれも一世一代の名演となっています。
特に、対立と和解への希望を象徴する、ラストのセリフは映画史に残る名シーンです。
🍿 関連作品レコメンド
同ジャンル/テーマ作品
- 『戦場にかける橋』(1957)
同じく日英文化衝突を描いた古典的戦争映画として、文化理解の困難を描写した傑作です。 - 『御法度』(1999)
大島渚監督の遺作であり、本作と同じく男性社会における禁断の感情や秩序の乱れを描いており、ビートたけしの円熟した演技も見どころです。
同監督作
- 『愛のコリーダ』(1976)
人間の欲望とタブーに深く切り込んだ作品であり、大島渚監督の国際的な評価を決定づけた作品です
🔗 参考文献・リンク
Roger Ebert.com、Rotten Tomatoes、IMDb
MovieWalker Press、MSCREEN ONLINE
allcinema、映画.com、Wikipedia
、
更新情報
2025年9月26日: 初回投稿
2025年10月9日: 第2回投稿
当時話題になった坂本龍一とデヴィッドボウイの
あのシーン。
今になればそこまで衝撃だったのか。と思ってたけど
最近4Kで観賞して良いものはいい!
あの名シーン、名曲は忘れられませんね