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レビュー
🌟 1. 本作の魅力:注目ポイント
- 現代AIへの警鐘
本作は単なるアクション映画の域を超え、AI技術の危険性を真正面から描いた社会派作品としての側面も合わせ持ちます。 - スタント演出の極限
トム・クルーズによる実写スタントは今回も健在で、特にバイクでの崖からのダイブシーンは映画史に残る名場面となっています。 - 新キャラクターの魅力とチームの進化
これまでのシリーズと比較して、登場人物の内面描写と人間関係に重点が置かれ、特にイーサン・ハントの過去への贖罪意識と仲間への愛情が丁寧に描かれています。さらに過去作からのキャラクターや、魅力的な新キャラクターたちが多数登場、それぞれの思惑が交錯する人間ドラマも見どころです。
🎯 2. こんな人におすすめ
✅ おすすめ
- 迫力あるアクション映画やスパイ映画のファン。
- AIや科学技術の発展に興味がある方。
- シリーズを通して楽しんできたファン。
⚠️ 注意点
- 物語が二部構成のため、完結していません。
- AIテーマに関する複雑な設定があります。
- シリーズの過去作を観ていないと、一部キャラクター関係が分かりにくい部分があります。
📖 3. 物語とテーマ
📝 あらすじと概要
高度なAIシステムが暴走し、自我を持つ「エンティティ」として世界の脅威となります。
IMFのイーサン・ハントは、このAIを制御出来る謎のカギを巡って、国際的な争奪戦に巻き込まれていきます。
💭 テーマと構造
本作の中心的なテーマは、「テクノロジーの進化」とそれがもたらす脅威、そして人間の意志と信頼の重要性です。
実体のないAI「エンティティ」は、現代社会におけるデジタルへの依存と、その脆弱性を象徴しています。
物語は、この見えない敵に対して、イーサンたちがアナログな手法や仲間との絆を頼りに戦う姿を描き出します。
シリーズ特有の二転三転するスリリングなプロットは健在で、最後まで物語に惹きつけます。
📜 象徴的な台詞
“Your life will always matter more to me than my own.”
“君の命は、いつだって僕の命より大切だ。”
—イーサン・ハント
🎨 4. 映像表現と演出
🖼️ 視覚表現
クリストファー・マッカリー監督による映像表現は、実写撮影の迫力とデジタル技術の精密さを完璧に融合させています。
アブダビの広大な砂漠、ローマの歴史的な街並み、ヴェネツィアの美しい運河、そしてノルウェーの険しい山岳地帯など、世界各地の壮大なロケーションが物語のスケール感を高めています。
手持ちカメラやドローンを効果的に用い、臨場感あふれるアクションシーンを構築しています。
特に、トム・クルーズ自身がこなすスタントシーンでは、その迫力を最大限に伝えるため、長回しや観客の視点に近いカメラアングルが多用されています。
美術デザインや衣装も洗練されており、キャラクターの個性や物語の雰囲気を巧みに演出しています。
🎵 音響表現
ローン・バルフェによる音楽は、従来のシリーズのテーマを踏襲しながらも、AI要素を表現するエレクトロニックサウンドを巧妙に織り込んでいます。
✨ 印象的なシーン
最も印象的なのは、イーサンがバイクで崖からダイブするシーンでしょう。
このシーンはただのスタントではなく、デジタル化された世界に対する人間の肉体的な反抗を象徴しています。
🎬 5. 製作背景
🎥 制作エピソード
当初は前篇と後編を同時進行で撮影し、それぞれ2021年・2022年に連続公開する予定で、2020年2月20日からヴェネツィアで撮影が開始されました。
しかし、COVID-19パンデミックの影響で、撮影は7回中断され、その度に全スタッフのPCR検査、隔離期間の設定、撮影セットの消毒作業が行われました。
トム・クルーズ自身が製作者として、スタッフの安全確保のために厳格な感染対策プロトコルを策定し、これが後にハリウッド全体の撮影ガイドラインのモデルケースとなりました。
撮影途中で、このガイドラインを守らなかったスタッフを、トム・クルーズが解雇したことは雑誌などでも取り上げられました。
撮影は困難を極め、最終的には制作費が2億9100万ドル(約400億円)までに膨れ上がる事となります。
(コロナで製作期間が延びたとはいえ、この金額はハリウッドの歴代の映画製作費用でも最高額の一つです)。
そして、映画中で最も注目すべきは、トム・クルーズが実際にバイクで崖からダイブしたスタントです。
このシーンの実現のために、製作チームは1年間の準備期間を設け、トム・クルーズは500回以上のバイク練習、30回以上のパラシュート降下訓練、そして50回以上のベースジャンプ訓練を行いました。
実際の撮影では、高度1,200メートルの断崖から時速80キロでバイクごと飛び出すという、映画史上類を見ない危険なスタントが実行されました。
この撮影のために、ノルウェー政府から特別許可を取得し、現地には医療ヘリコプター2機、救急医療チーム15名、山岳救助隊20名が待機しました。
また、気象条件が完璧でなければ撮影は中止という厳格な安全基準が設けられ、実際に撮影可能な日は3か月間でわずか6日間しかありませんでした。
クルーズは本番で6回のジャンプを行い、そのすべてが異なるカメラアングルで撮影されました。
列車のクライマックスシーンでは、ポーランドの廃線となった鉄道を利用し、実際に走行する列車を使用した撮影が行われました。
この撮影のために、製作チームは実物大の列車セットを12両分製作し、そのうち7両は実際に橋から落下させるという大掛かりな特殊効果が実現されました。
撮影期間は4か月に及び、延べ800名のスタッフが参加する大規模な撮影となりました。
また、トム・クルーズが実際に走行中の列車の屋根で格闘するシーンでは、時速60キロで走る列車の上での撮影が行われました。
安全ハーネスを使用しながらも極めて危険なスタントとなっています。
ローマでのカーチェイスシーンでは、スペイン階段での撮影許可を得るために、イタリア政府と文化財保護当局との協議を重ね、最終的に夜間の限定的な撮影許可が下りました。
フィアット500を使用したコミカルなチェイスシーンは、実際にローマの石畳の上で撮影されています。
ベネチアでの撮影では、ドゥカーレ宮殿での夜間撮影が行われ、これは宮殿史上初の大規模映画撮影となりました。
🗣️ 監督・俳優の声
“この映画は、人工知能という現代的な脅威に対して、人間の持つ最も原始的で強力な武器である「信頼」と「絆」で立ち向かう物語です。テクノロジーがどれほど進歩しても、最終的に世界を救うのは人間の心なのです。”
—クリストファー・マッカリー監督, Variety誌インタビュー
“For years, I’ve wanted to [drive a motorcycle off a cliff]. I wanted to do it since I was a little kid.”
(長年、崖からバイクで飛び降りてみたかったんだ。子供の頃からずっとやりたかったことだよ。)—トム・クルーズ, Entertainment Tonightインタビューより
🌐 6. 国内外の評価
🌎 海外メディアの評価
海外の批評家からは概ね高い評価を受けており、Rotten Tomatoesでは「素晴らしいキャストと美しく撮影されたスタントで、今年最高のアクション映画になる」と評されています。
Roger Ebertは「信じられないほど楽しく、体感時間は半分に感じられ、記憶に残るアクションシーケンスを含んでいる」と絶賛しました。
Metacriticでは、81点と高い評価、VarietyやThe Guardianは「シリーズ最高峰のアクション」と絶賛し、AIというテーマ性も時代性を映すと評価されています。
🇯🇵 日本国内の評価
日本でもアクションの迫力やトム・クルーズのプロ意識が高く評価されています。
海外と同様にAIテーマへの関心も強い一方、二部構成のため「結末への消化不良」を指摘する声も見られます。
💫 7. レビューと関連作品
💯 レビュー
本作は、圧倒的なエンターテイメント作品でありながら、テクノロジーと人間性の関係について深く考えさせる内容となっており、単なるアクション映画の枠を超えています。
その一方で、アクション映画の原点に返ったようなトム・クルーズの実写スタントの迫力は、他の追随を許さないでしょう。
60代になったクルーズが、スクリーンの端から端まで駆け抜ける姿は圧巻で、感動的ですらあります。
マッカリー監督の演出は巧妙で、スペクタクルな映像と繊細な人間ドラマのバランスが絶妙です。
シリーズファンにとっては期待を裏切らないばかりか、過去作との絡み方も見事で、一級のエンターテインメント作品となっています。
🍿 関連作品レコメンド
同ジャンル/テーマ
- 『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』(2021年)
ジェームズ・ボンドシリーズのダニエル・クレイグ最終作。
ナノテクノロジーという現代的な脅威や、主人公の個人的な葛藤が描かれる点で本作と通じる部分があります。
トム・クルーズは、007を(超えることを)意識しているのは間違いないところでしょう。 - 『ブレードランナー 2049』(2017)
AIと人間性をテーマにしたSF作品として、本作と共通する問題意識を持ちながら、より哲学的なアプローチで描かれた傑作です。
同監督作
- 『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』(2018)
実写アクションの技術と人間ドラマの融合において本作の直接的な前身となった作品です。 - 『アウトロー』(2012年)
トム・クルーズとクリストファー・マッカリー監督が初めてタッグを組んだハードボイルド・アクション。
派手な秘密兵器は登場しませんが、リアルな格闘描写や緊迫感のあるカーチェイスなど、監督の演出スタイルの原点が見られます
🔗 参考文献・リンク
Rotten Tomatoes – Mission: Impossible – Dead Reckoning Part One
Roger Ebert – Mission: Impossible – Dead Reckoning Part One movie review
Variety – Mission: Impossible – Dead Reckoning Part One Review
Entertainment Weekly – インタビュー記事
The Guardian – Mission: Impossible Dead Reckoning Part One Review:
Rotten Tomatoes – Mission: Impossible Dead Reckoning Part One:
Metacritic – Mission: Impossible Dead Reckoning Reviews:
Wikipedia – ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE: https://ja.wikipedia.org/wiki/ミッション:インポッシブル/デッドレコニング_PART_ONE
パラマウント映画公式サイト: https://paramount.jp/mi-deadreckoning/
🔄 更新情報
更新:2025年6月2日 – 初回レビュー公開