Rottenn Tomatos評価
iMDb評価
Filmarks評価
運営評価
レビュー
1.本作の魅力:注目ポイント
- 独創的な文化融合。
カンフーアクションとボリウッド的コメディが融合しています。 - 社会問題への切り込み。
家父長制や強制結婚といった旧態の重いテーマも、軽やかに描きこまれています。 - パワフルなシスターフッド。
夢を追う妹と、突然結婚を決めた姉。二人の強い絆が描かれています。
2. こんな人におすすめ
おすすめ
- アクションコメディファン。
軽快なテンポと痛快なアクションが楽しめる新感覚作品です。 - 文化の多様性に興味がある方。
イギリスのパキスタン系コミュニティを舞台に、異文化が織りなすユニークな世界観を体験できます。 - 女性の活躍に共感する方。
困難に立ち向かい、自らの道を切り開く女性たちの姿が描かれています。
注意点
- 現実的なアクション好き。
荒唐無稽な展開が多いため、リアルなアクション映画を期待する人には不向きでしょう。 - 文化的理解が少ない方。
ムスリム文化やパキスタン系英国人の背景知識があると、より楽しめます。 - 物語の深さを求める方。
ストーリー自体はシンプルで、深い人間ドラマや複雑な心理描写は控えめです。
3. 物語とテーマ
あらすじと概要
パキスタン系英国人の女子高生リアは、スタントウーマンを夢見てカンフー修行に励む日々。
姉のリーナが突然の結婚を決意するが、結婚の裏に隠された陰謀を感じ、結婚阻止のために奔走する。
テーマと構造
家族や伝統からの自立と姉妹の絆が柱です。夢を諦めようとする姉と諦めきれない妹の対立と和解。
コメディタッチの中に大胆なアクション、サスペンス要素と多文化コミュニティの現実を盛り込んだ構成です。
4. 映像・音響表現と演出
ニダ・マンズール監督の演出は、色彩豊かなボリウッド映画の美学と、イギリス映画の洗練された映像技術を融合させています。
香港映画のようなスローモーションやワイヤーアクションを多用した演出は、『マトリックス』や『キル・ビル』を彷彿とさせつつも、コメディタッチに昇華されており、独特のリズムを生み出しています。
同時にボリウッド映画のような音楽とダンスも挿入。多彩な要素が、本作独自の世界観を構築しています。
5. 製作エピソード
本作の監督自身もパキスタン系イギリス人であり、自身の体験を作品に反映させています。
「これは私から、私のようなはみ出し者の茶色い肌の女の子たちへのラブレターです」と述べ、エンターテインメントの中に強いメッセージを込めています。
製作は、『フォー・ウェディング』や『ノッティングヒルの恋人』で知られるワーキング・タイトル・フィルムズのティム・ビーヴァンとエリック・フェルナーが担当。
彼らは本作について「新しい声を持つ監督による、これまでにない文化的な融合作品」とコメントしています。
主演のプリヤ・カンサラは本作が映画初主演となり、監督は彼女について「リアの持つ情熱と反骨精神を完璧に体現してくれた。彼女なしにこの映画は成立しなかった」と語っています。
また、姉役のリトゥ・アリヤは『アンブレラ・アカデミー』で知られる女優で、「姉妹の複雑な関係性を表現するのが一番の挑戦だった」と撮影を振り返っています。
撮影は主にロンドンで行われ、特にカンフーシーンの振付には香港のアクション監督のアドバイスも受けました。
監督は「西洋のアクション映画とは全く違うアプローチで、女性の身体性を大切にしたアクションを目指した」と述べています。
6. 国内外の評価
海外メディア評価
2023年1月21日にサンダンス映画祭でワールドプレミア上映され、批評家から賞賛を集めた本作は、各国で高い評価を獲得しました。
英国インディペンデント映画賞では最優秀新人脚本家賞を受賞し、バラク・オバマ元米国大統領の2023年お気に入り映画にも選出されるなど、アメリカでも注目されました。
Rotten Tomatoesでは批評家91%・観客85%という高スコアを記録。
The Guardian紙は、「輝かしき新人のプリヤ・カンサラが演じた」と主演の演技力を絶賛しました。
ただし、興行面では苦戦し、興行収入に関しては全世界で約270万ドルで、”惨敗”したという評価もあります。
日本国内評価
Filmarksでは平均スコア3.7点という好評価を獲得、「新しい映画体験」として評価されています。
映画ファンからは「カンフー×ボリウッドの融合」が新鮮として受け入れられ、社会問題を扱いながらもエンターテインメント性を失わないバランス感覚が評価されています。
7. レビューと関連作品
レビュー
『ポライト・ソサエティ』は、文化的多様性と社会問題への提起をエンターテインメントに昇華させた作品といえます。
映画には香港カンフー、インドのミュージカル、イギリス風の青春コメディといった要素が混在。
アメ車、ダイナー、歌謡曲(浅川マキの「ちっちゃな時から」)、そしてカラフルでPOPな映像と、ガジェットも盛り沢山で、唯一無二の世界観を生み出しています。
ただし、映像的な面白みがある一方で、ストーリーは消化不良だし、キャラ描写も浅く、アクションとしても物足りない部分があります。
ニダ・マンズール監督の映像センスは確かですから、次回作に期待ですね。
関連作品レコメンド
同ジャンル/テーマ
- 『ベッカムに恋して』(2002)
インド系家族の因習と、サッカー選手を夢見る娘の葛藤を描く点で共通します。 - 『マトリックス』(1999)
革新的なワイヤーアクションが。本作のアクション演出に通じます。
同監督作
- 『絶叫パンクス レディパーツ!』(2021)
マンズール監督のテレビシリーズ代表作。ムスリム女性のバンドを描き、本作と同様の文化的視点とユーモアが光ります。
参考文献・リンク
映画.com「ポライト・ソサエティ」作品情報
映画公式サイト(トランスフォーマー配給)
Filmarks レビューページ
The Guardian, Rotten Tomatoes
ポライト・ソサエティ – Wikipedia:
更新情報
2025年7月20日: 初回投稿