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レビュー
1. 本作の魅力:注目ポイント
- 社会派スリラーとしての緊張感
本作はオーストラリアの荒野に建つパブを舞台に、女性2人が直面するハラスメントや差別をリアルに描き出します。
観る者の心をつかむ緊張感と、現代社会に通じる問題提起が魅力です。 - 主演女優たちの圧倒的な演技力
ジュリア・ガーナーとジェシカ・ヘンウィックが、極限状態に追い込まれる女性の心理を繊細かつ力強く表現。
その演技にに引き込まれ、共感や恐怖を体感できます。 - リアルな映像美と演出
広大で人里離れたオーストラリアの荒野という設定が、閉塞感と孤立感を増幅させています。
2. こんな人におすすめ
✅ おすすめ
- 社会問題を扱う映画に関心がある方。
- 心理的サスペンスやスリラーが好きな方。
- リアルな人間ドラマを求める方。
- 演技派俳優の繊細な表現を楽しみたい方。
⚠️ 注意点
- ハラスメントや暴力描写が苦手な方は注意が必要です。
- 派手なアクションや明確な恐怖描写を期待すると外れます。
- 重いテーマや閉塞感のある物語展開が苦手な方には向きません
3. 物語とテーマ
📝 あらすじと概要
アメリカからオーストラリアを訪れたハンナとリブは、資金難から荒野のパブ「ロイヤルホテル」で住み込みバーテンダーとして働き始めます。
しかし、彼女たちを待っていたのは、飲んだくれの店長や粗暴な客たちによるハラスメントや女性差別でした。
💭 テーマと構造
本作の中心的なテーマは、孤立した環境における女性の脆弱性とシスターフッドです。
また、言葉や態度によるマイクロアグレッション、男性優位社会の構造的な問題、そして異文化の中での疎外感も描かれます。
明確な悪役を提示するのではなく、環境そのものが脅威となる状況を巧みに描き出しています。
そして、”孤立した環境”という設定は、被害者が助けを求めにくい状況の象徴で、現実社会でのハラスメント被害者が直面する孤立感を反映しています。
🎨4. 映像表現と演出
🖼️ 視覚表現
荒野に佇むパブの閉塞感や孤立感を、広角レンズや低彩度の色調で表現。
窓から差し込む光や、夜の闇が登場人物の心理状態を映し出します。
特にハンナの視点からの撮影が多用され、男性客の視線や動きが持つ威圧感が、女性の目を通して捉えられています。
🎵 音響表現
音楽は最小限に抑えられ、環境音や自然音が効果的に活用されることで、リアリティと臨場感が高められています。
特徴的なのは、ほとんど気づかないほど低く混ぜられた不協和音のスコアで、巧みに不安を煽っています。
✨ 印象的なシーン
最も印象的なのは、ハンナが一人でパブに残される夜のシーンです。
このシーンは、女性が日常的に感じる恐怖や不安を、映像言語として見事に表現しています。
5. 製作背景
🎥 制作エピソード
本作は、2016年に公開されたピート・グリーソン監督のドキュメンタリー映画『Hotel Coolgardie(原題)』から着想を得ています。
このドキュメンタリーは、オーストラリアの辺鄙なパブで働く二人のフィンランド人バックパッカーの過酷な経験を追ったものです。
主演のジュリア・ガーナーは「脚本を読む前から出演を決めていた」と語り、アクションシーンもスタントなしで挑戦。
監督は「どこにでもある酒場を女性視点で描くことで、広範な議論を呼び起こしたい」と語っています。
監督自身がオーストラリア出身であることから、オーストラリアの酒文化と男性性の複雑な関係についても、内部者の視点から描くことができました。
撮影は実際のオーストラリアの荒野で行われ、その過酷な環境が映画の雰囲気づくりに貢献しています。
キャスト陣は撮影前に実際のパブで時間を過ごし、その環境と文化を体験しています。
特にジュリア・ガーナーとジェシカ・ヘンウィックは、バーテンダーとしての訓練も受け、リアリティを高めています。
6. 国内外の評価
🌎 海外メディアの評価
IndieWireは「男性の視線から逃れることの不可能性を描いた傑作」と評価し、Varietyは「緊張感に満ちたスリラー」として作品を称賛しています
Rotten TomatoesやMetacritic(77点)でも高スコアを記録し、「現代社会の闇を鋭くえぐるサスペンス」と評されています。
ただし、Rotten Tomatoesは、批評家の評価とは対照的に、一般評価は37%と極めて低く、好みが大きく分かれる作品となっています。
The Guardianは5つ星満点の評価を与え、「神経をすり減らすアウトバック・スリラー」と称賛しています。
RogerEbert.comも「力強い二人の中心的な演技に支えられた、緊張感のある雰囲気の良いスリラー」と好意的です。
主演女優の演技や、緊張感を持続させるキティ・グリーン監督の演出が、特に称賛されています。
日本国内の評価
海外と同様に、リアルな描写と主演女優の演技が高く評価される一方、ハラスメント描写の生々しさに賛否が分かれる傾向があります。
7. レビューと関連作品
💯 レビュー
『ロイヤルホテル』は、現代社会におけるジェンダー構造やハラスメントの問題を、スリラーというジャンルを通して鋭く描き出します。
単なる被害の再現にとどまらず、観客一人ひとりに「自分ごと」として問いを投げかける力強さがあります。
静かな演出と緊張感が持続する語り口が特徴的で、主演女優たちのリアルな演技が、作品の説得力を高めています。
🍿 関連作品レコメンド
同ジャンル/テーマ
- 『プロミシング・ヤング・ウーマン』(2020年)
女性が受ける性暴力や社会の無関心に対し、独自のやり方で復讐を試みる女性を描いたスリラー。
男性優位社会への鋭い批判という点で本作とテーマが共通しますが、よりエンターテインメント性の高い復讐劇の側面も持ち合わせています。
同監督作
- 『アシスタント』(2019年)
グリーン監督の作風の根底にある「見えにくい暴力」への鋭い視線が、本作でも一貫して表現されています。 - 『ウクライナ・イズ・ノット・ア・ブロッセル』(2013年)
キティ・グリーン監督のドキュメンタリー作品。
ウクライナのフェミニスト抗議団体「FEMEN」の活動を追いながら、その内実やメディアとの関係性を描いています。
初期作品から一貫して、女性の権利や社会構造への鋭い視点がうかがえます。
🔗 参考文献・リンク
https://ja.wikipedia.org/wiki/ロイヤルホテル_(映画)
https://fansvoice.jp/2024/07/18/the-royal-hotel-garner/
https://movie.jorudan.co.jp/film/99781/
https://cinemandrake.com/royalhotel2023
https://niewmedia.com/specials/royalhotel/
https://unpfilm.com/royalhotelhttps://www.theguardian.com/film/2023/nov/04/the-royal-hotel-review-nerve-shredding-outback-thriller-kitty-green-julia-garrner-jessica-henwick-the-assistant https://www.rogerebert.com/reviews/the-royal-hotel-movie-review-2023
https://eiga.com/movie/101577/
🔄 更新情報
更新:2025年6月5日 – 初稿作成