あの人が消えた

1. 本作の魅力：注目ポイント

• 予測不能な展開
  『ブラッシュアップライフ』で話題を呼んだ水野格が手がける完全オリジナル脚本です。
  
  
•  高橋文哉×田中圭のコンビ
  「あなたの番です」以来、4年ぶりの共演となる二人の息の合った掛け合いが、コメディ要素とサスペンス要素を巧みに調和させています。
  
  
•  謎解きの巧妙さ
  “人が消える”マンションを舞台に、二転三転する展開が最後まで楽しめます。

2. こんな人におすすめ

✅ おすすめ

• ミステリー好きの方。
  緻密な脚本と予測不能な展開をの締めます。
  
  
• 複雑な人間ドラマが好きな方。
  マンション舞台で織りなす多彩なキャラが魅力。
  
  
• 予測不能な展開を楽しみたい方。
  序盤の雰囲気と後半のどんでん返しに驚きが多いです。
  
  

⚠️ 注意点

• テンポがやや遅め。
  導入部が伏線張りや設定説明に重きを置き過ぎる感あり。
  
  
• 本格的なサスペンス好き。
  エンタテインメント性を重視した軽快な作風で、深刻な人間ドラマは期待できません。
  
  
• 刺激を求める方。
  静かな展開が続くため、派手なアクションを期待すると肩透かしを食らうでしょう。

3. 物語とテーマ 

📝 あらすじと概要

舞台は「次々と人が消える」という噂があるマンション。
配達員の丸子が先輩の荒川とともに住人の秘密に迫るうちに、大事件に巻き込まれることになります。

💭 テーマと構造

本作のテーマは「日常に潜む非日常」と「人間の多面性」です。

物語は、一見平凡な日常から徐々にミステリーが深まる構造となっており、観客は主人公と共に、予測不能な展開へと誘われます。

4. 映像・音響表現と演出

水野格監督の映像センスが光る演出技法が随所に見られます。
マンションの閉塞感を表現する縦構図の多用や、住人たちの心理状態を反映した色彩設計が印象的です。

音響面では、NAQT VANEが手がけた主題歌「FALLOUT」が作品の雰囲気を巧妙に盛り上げ、日常と非日常の境界を音楽的に表現しています。

谷康生による撮影は、閉鎖空間の不穏さを巧みに演出。
手持ちカメラを効果的に使用し、登場人物の心理的不安定さを視覚的に表現しています。

そして、住人ごとに異なる視点移動、丸子の主観と客観を自在に切り替える編集も効果的です。

5. 製作エピソード

本作は『ブラッシュアップライフ』で高い評価を受けた水野格監督が、完全オリジナル脚本で挑んだ作品です。

企画段階から「先読み不可能」をコンセプトに掲げ、観客の予想を裏切り続けるストーリー構成に約2年を費やしました。

また、水野監督は、バラエティ番組のディレクター出身という異色の経歴を持ち、その経験が本作の予測不能な展開やユーモラスな描写に活かされています。

高橋文哉と田中圭の共演は、2020年のドラマ『あなたの番です』以来4年ぶり。

田中圭は初日舞台挨拶で「高橋くんとの掛け合いは自然で、台本を読んだ瞬間からキャラクターが見えた」とコメント。
高橋文哉も「田中さんの演技に引っ張られて、自分でも予想しない表現ができた」と振り返っています。

撮影は横浜市の実在のマンション「平楽園」で行われ、住民の協力を得て約1ヶ月間のロケーション撮影を敢行。

水野監督は「リアルな生活感を出すため、実際の住環境での撮影にこだわった」と語っています。

特に印象的なのは、マンションの各部屋を実際の住人が住む状態で借用し、生活の痕跡をそのまま作品に活かした演出です。

北香那演じる小説家・コミヤチヒロの設定は、現代のWEB小説文化への監督の関心から生まれました。
水野監督は「現代の創作環境とファンとの距離感を表現したかった」と制作意図を説明しています。

6. 国内外の評価

🌎 海外メディア評価

海外での詳細な評価はまだ限定的ですが、Variety誌は「日本の都市型ミステリーの新機軸」と評価。

国際映画祭での上映を通じて徐々に注目を集めており、アジア圏の映画祭では、独特なユーモアセンスと予想外の展開が評価されています。

🇯🇵 日本国内評価

映画.comでは平均評価3.7点、Moviewalker で4.3／5で、観客からは「最後まで予想がつかない展開に引き込まれた」「高橋文哉と田中圭のコンビが最高」といった好意的な意見が多数寄せられています。

ただし、一部では「展開が静かすぎる」「難解」といった意見もあります

映画評論家の間では、水野格監督の演出技法と脚本構成力が高く評価されており、特に日常と非日常の境界を曖昧にする手法が注目されています。

7. レビューと関連作品 

💯 レビュー

本作は水野格監督の独創的な視点と、キャスト陣の絶妙な演技が融合した作品です。

「先読み不可能」というキャッチコピー通り、最後まで飽きさせない脚本は見事で、エンタテインメント作品として高いクオリティを実現しています。

前半、若干話はもたつきますが、中盤から加速しはじめて、散りばめられた伏線とコメディが一体となって、ジャンルの枠を超えたミステリー作品となり、ラストまで楽しめます。

🍿 関連作品レコメンド

同ジャンル/テーマ

• 『アフタースクール』(2008)
  二転三転する展開と最後の大どんでん返しが本作と共通。
  よりサスペンス色が強い作品です。
  
  
• 『カメラを止めるな！』(2018)
  予想を裏切る構成と、観客を巻き込むエンターテインメント性が似ています。

同監督作

• 『ブラッシュアップライフ』（2023 TV作品）
  人生の予測不能な展開と、仕掛けた伏線は本作にも通じます。

🔗 参考文献・リンク
映画.com、Filmarks、公式サイト、IMDb、Rotten Tomatoes、allcinema
SCREENONLINE、Wikipedia、

更新情報

2025年9月13日: 初回投稿