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レビュー
🌟 1. 本作の魅力:注目ポイント
- 豪華絢爛な舞台
1920~30年代、ハーレムの熱狂と禁酒法時代を、実在の高級クラブを舞台に鮮やかに再現。 - ギャング映画とラブロマンスの複層構造
リチャード・ギアやダイアン・レインら、豪華キャストが演じる、二重のラブストーリーとギャング抗争の緊張感。 - コッポラ監督の映像美
ジャズ演奏、タップダンス、華麗なショーが、スタイリッシュな映像美と共に蘇ります。
👤 2. こんな人におすすめ
✅ おすすめ
- 1920年代のジャズ・エイジや禁酒法時代の雰囲気が好きな方。
- フランシス・フォード・コッポラ監督のファンの方。
- ギャング映画やノワール作品のファンの方。
- 華やかなショービジネスの裏側や人間ドラマに興味がある方。
⚠️ 注意点
- 複数の登場人物の視点が交錯するため、物語がやや複雑に感じる可能性があります。
- 暴力描写やギャング抗争のシーンが多く含まれます。
- 人種差別に関する描写が含まれます。
- 音楽重視の演出が好みでない人には、やや冗長に感じられる場面もあります。
🧠 3. 物語とテーマ
あらすじ
1920年代、禁酒法下のNY。
高級クラブ「コットンクラブ」のコルネット奏者とタップダンサーが、ギャングの抗争に巻き込まれていきます。
テーマ
本作は「芸術と暴力」「人種差別」の交錯を鮮やかに描きます。
黒人が舞台で輝く一方、観客席は白人のみという社会の矛盾、禁酒法時代の狂騒と混乱を背景に、野心、愛、裏切り、そして挫折が描かれます。
音楽が人々の希望となる一方で、裏社会の暴力が日常を脅かすという、アメリカン・ドリームの光と影を描いています。
構造
複数の人物の視点を交差させながら物語が展開する群像劇形式です。
時間軸は比較的直線的ながら、回想や演奏シーンの挿入によって、リズミカルな流れが生まれています。
🎬 4. 演出と技術の評価
映像表現
コッポラ監督らしい陰影を強調した照明と、豪華なセットデザインが目を引きます。
スティーヴン・ゴールドブラットによる撮影は、暗く重厚な色彩と光のコントラストが印象的です。
クラブ内部のきらびやかさと、裏社会の陰鬱さが鮮やかに対比され、モンタージュ技法を駆使し、ショーの華やかさと登場人物たちのドラマをリズミカルに繋いでいます。
音響設計
デューク・エリントンをはじめとする当時のジャズナンバーが全編を彩り、作品の雰囲気を決定づけています。
劇中の演奏シーンも圧巻です。
美術・衣装
1920年代から30年代初頭のニューヨーク、特にハーレムの雰囲気を忠実に再現したアールデコ調の美術セットは見事です。
豪華絢爛なステージ、ギャングたちのスタイリッシュなスーツ、黒人パフォーマーの華やかな衣装と白人客の正装が時代の階層意識を象徴します。
象徴的なシーンの演出
ステージで繰り広げられる華やかなレビューシーンは、観る者を一気に作品世界へと引き込みます。
主人公のコルネット演奏シーンと、裏社会の暴力が交錯するモンタージュは、芸術と暴力、夢と現実という本作のテーマを象徴的に表現しています。
🌍 5. 海外の視点と製作の舞台裏
海外メディアの評価
公開当時、本作に対する評価は賛否両論でした。
Rotten Tomatoesでは批評家の支持率は77%、オーディエンススコアは57%(2025年5月時点)と大きく賛否が分かれています。
Varietyは「プロダクションの豪華さは圧巻だが、物語がやや散漫」と批評。
Roger Ebertは、4つ星中3.5星を与え、「野心的で、時には素晴らしい映画であり、多くの才能と努力が注ぎ込まれている」と評価する一方で、物語のまとまりのなさに言及しています。
The Guardianのレビューでは、コッポラ監督の演出手腕と映像美を称賛しつつも、感情的な深みに欠ける部分があると評されました。
製作エピソード
本作は監督とプロデューサーの対立、製作費の大幅超過や脚本の迷走、キャストの入れ替えなど、撮影現場の混乱が伝説的です。
コッポラ監督は後のインタビューで、「音楽と暴力、夢と現実のコントラストを徹底的に追求した」と語り、「非常に困難な撮影だったが、多くのことを学んだ」と述べています。
また、出演者の一人であるニコラス・ケイジ(コッポラ監督の甥)やトム・ウェイツなど、後の大物俳優も出演しています。
日本国内の評価
日本公開当時も、コッポラ監督の話題作として注目を集めましたが、海外と同様に評価は分かれる傾向にありました。
豪華キャストと音楽、ダンス、時代考証の精密さが高評価を得る一方で、ストーリーの複雑さや暴力描写には賛否が分かれました。
🔗 6. 関連作品レコメンド
同ジャンル/テーマ
- 『バグジー』(1991)
禁酒法時代のラスベガスを舞台に、実在したギャング、ベンジャミン・シーゲルの野望と愛を描いた作品です。 - 『シカゴ』(2002)
1920年代のシカゴを舞台にしたミュージカル映画。
ショービジネスの世界と犯罪が絡み合う様を、スタイリッシュな映像と音楽で描いています。
同監督作
- 『ゴッドファーザー』(1972)
マフィアの世界を壮大なスケールで描いたコッポラ監督の代表作にして傑作。
家族と裏社会、暴力と権力のテーマが共通しています。 - 『ワン・フロム・ザ・ハート』(1982)
コッポラの最大の失敗作ながら、凝った映像に、美しい音楽シーンは本作へと昇華しています。
トム・ウェイツが音楽を担当(ちょい出演も)しています。
🤔 7. コメント
1920年代のジャズ・エイジが放つ圧倒的なエネルギーと、その裏に潜む暴力や人種間の緊張を見事に描き出した野心作です。
フランシス・フォード・コッポラ監督ならではの重厚かつ華麗な映像美、そしてデューク・エリントンらの音楽やタップダンス、アールデコの美術が全編を彩り、見応えのある作品になっています。
さらには、豪華キャストの共演も楽しめますが、一方で物語が散漫な印象はぬぐえません。
何より、”コッポラ監督作、しかもギャング映画!?”となると、圧倒的な傑作「ゴッドファーザー」の再来を期待するだけに、肩透かしをくらった感はあります。
困難を極めた製作現場という事ですが、Blu-rayに収録されているオーディオコメンタリーを聞いてみたいですね!