Rottenn Tomatos評価
iMDb評価
Filmarks評価
運営評価
レビュー
1. 本作の魅力
- ナンセンスの極致
画面の隅々まで笑いが仕込まれています。 - レスリーの怪演
大真面目な表情で荒唐無稽な行動を繰り返す主演の存在感が、作品全体の説得力を生みます。 - パロディの完成形
刑事ドラマというジャンルそのものを笑いに変えた手腕が光ります。
2. おすすめ視聴ポイント
こんな人におすすめ
- コメディ映画を探している方。
ギャグの密度、テンポ、センスのすべてが最高水準です。 - パロディやオマージュが好きな方。
刑事ドラマや映画の定番シーンを次々とネタにしています。 - パーティムービーとしてもおススメ。
友人やご家族と一緒に観れば、笑いを共有し、楽しさが倍増します。
注意点
- ブラックジョークが多い
一部過激な表現や、際どいギャグも含まれています。 - ストーリーは二の次
物語の整合性や深みを求めると、肩透かしを食らいます。 - 字幕版は言葉遊びが難解
英語の洒落やダジャレが多く、字幕版では笑いが分かりにくい部分があります。
3. 物語とテーマ
あらすじと概要
ロサンゼルス市警の特捜班「ポリス・スクワッド」に所属するフランク・ドレビン刑事が、英国女王暗殺計画を阻止するため奮闘する。
しかし、彼の常識外れな捜査手法が、次々と騒動を巻き起こしていく。
中心テーマ
本作は「真面目さとナンセンスの衝突」を主軸に置き、主人公は常に本気で職務に取り組むが、その方法は荒唐無稽そのもの。この矛盾が生む笑いこそが本作の核心となています。
4. 製作エピソード
本作は、ザッカー兄弟とジム・エイブラハムス(ZAZ)が、1982年にABCテレビで製作したコメディシリーズ『Police Squad!(日本題:フライング・コップ)』がベースですが、このシリーズはわずか6話で打ち切られます。
ABCの幹部は当時、打ち切りの理由を「視聴者が画面に集中し続けなければギャグを見逃してしまうからだ」と語ったとされています。
テレビという「ながら見」が主流のメディアでは、緻密に配置された背景のギャグやセリフの細かいニュアンスが伝わりにくかったのです。
しかし、ZAZトリオと主演のレスリー・ニールセンは、このコンセプトに自信を持っていました。
彼らは、観客がスクリーンに集中する映画というフォーマットこそ、『Police Squad!』の笑いを最大限に引き出せる場所だと確信。
パラマウント・ピクチャーズの下で映画化企画が実現し、本作が誕生しました。
ZAZの3人は、1980年の『フライング・ハイ』で既に成功を収めており、その手法を本作でも踏襲しました。
あらゆる瞬間にギャグを詰め込むことを徹底し、背景に映り込む細かな視覚ギャグから、セリフの応酬による言葉遊びまで、観客が一時も飽きることなく笑い続けられるよう、緻密に計算されたコメディが展開されています。
この手法は、後の多くのパロディ映画やコメディ作品に大きな影響を与えました。
主演のレスリー・ニールセンは、もともとシリアスな2枚目俳優としてキャリアをスタートさせていました。
『ポセイドン・アドベンチャー』(船長役)などの災害映画に出演していた彼が、『フライング・ハイ』でコメディに転向し、新たな才能を開花させました。
本作の撮影中、ニールセンは常に真顔を貫き、どんなに馬鹿馬鹿しいシーンでも笑わないことを徹底、この演技方針が、作品全体のリアリティと笑いのバランスを支えることになりました。
ザッカー監督はインタビューで「レスリーは決して自分が面白いと思っていない。だからこそ面白いんだ」と語っています。
撮影現場では、ニールセンの真剣な演技に周囲のスタッフが笑いを堪えきれず、何度もNGを出したというエピソードが残っています。
撮影は主にロサンゼルスで行われ、低予算ながらも冒頭のベイルート空港シーンや、野球場でのクライマックスシーンでは、限られた予算の中で最大限の効果を狙った演出が光ります。
ヒロインを演じるのはプリシラ・プレスリーで、エルビス・プレスリーの元妻(離婚後もプレスリー姓を名乗っています)。
美人女優として有名で「チャーリーズエンジェル」のオファーを受けたこともあります(本人が断っていますが)。
5. 国内外の評価
海外メディア評価
本作は公開当時から批評家の間で高く評価されました。
Rotten Tomatoesでは批評家支持率88%、観客スコア84%を獲得しており、コメディ映画としては異例の高評価を維持し続けています。
Metacriticでは78点を記録し、「普遍的な称賛」カテゴリーに分類されています。
映画評論家Roger Ebertは、本作に4つ星中3.5星を与え、「この映画は馬鹿馬鹿しいが、その馬鹿馬鹿しさは計算し尽くされた芸術だ」と評価、「ニールセンの演技は、真面目であればあるほど面白くなるという、コメディの基本原則を完璧に体現している」と述べています。
Varietyは「ギャグの密度とテンポが圧倒的で、観客は笑い疲れるほどだ」と評し、The Hollywood Reporterは「パロディ映画の新たな基準を打ち立てた」と称賛しました。
興行的にも大成功を収め、製作費1,200万ドルに対し、北米だけで7,850万ドル、全世界で1億5,650万ドルの興行収入を記録しました。
この成功により、続編『裸の銃を持つ男PART2 1/2』(1991年)、『裸の銃を持つ男PART33 1/3 最後の侮辱』(1994年)が制作されました。
日本国内評価
日本ではアメリカンコメディの代表作として受け入れられ、キネマ旬報では「言葉の壁を超えて笑えるビジュアルギャグの連続が、日本の観客にも強く訴えかける」と評価されています。
ビデオレンタル市場では長く人気を維持し、コメディ映画の定番タイトルとして定着しました。
映画評論家の町山智浩は、本作を「アメリカンコメディの最高峰」と位置づけ、「一見ただのバカ映画に見えるが、その裏には綿密な計算と映画文法への深い理解がある」と分析しています。
6. 総合レビューと関連作品
総評
本作はコメディ映画の金字塔であり、ナンセンスギャグの完成形として今なお輝きを失わなない傑作です
レスリー・ニールセンの怪演、ZAZチームの緻密な脚本、画面の隅々まで仕込まれた笑いの洪水が、85分間を一瞬たりとも退屈させません。
原型となった「Police Squad!」(邦題「フライング・コップ(全6話)」)とネタはダブル部分が多いのですが、こちらも笑えます!
関連作品レコメンド
同ジャンル作品
- 『フライング・ハイ』(1980)
ZAZチームによる前作で、航空パニック映画のパロディ。
本作と同じく真面目な演技とナンセンスギャグの組み合わせが秀逸です。 - 『ホット・ショット』(1991)
「トップガン」をパロディ化した作品で、アクション映画の定番を笑いに変える手法が本作に通じます。
同監督作品
- 『トップ・シークレット』(1984)
デヴィッド・ザッカー監督によるスリラーコメディ。
「トップガン」のクールなパイロット役のヴァル・キルマーが笑わせてくれます。
参考文献・リンク
Roger Ebert.com、Metacritic、Rotten Tomatoes、IMDb
MovieWalker Press、MSCREEN ONLINE、Variety、
The Hollywood Reporter、キネマ旬報、
allcinema、映画.com、Wikipedia
更新情報
2025年10月17日: 初回投稿
2025年10月21日: 第2回回投稿


ZAZシリーズはどの作品も大爆笑させてもらいました。ドラマシリーズの『フライング・コップ(Police Squad!)』といい『裸の銃~』といいヒドイ邦題だなぁと閉口しつつ、中身はわかりやすいギャグ、パロディの応酬でどハマりしたのを懐かしく思い出しまして。