Rottenn Tomatos評価
iMDb評価
Filmarks評価
運営評価
レビュー
1. 本作の魅力:注目ポイント
- 革新的SF設定
未来と現在を結ぶタイムパラドックス構造が、物語に深い緊張感を与えています。 - 緊迫感あるストーリー
絶え間ない追跡劇で、画面に釘付けになります。 - シュワルツェネッガーの存在感
無慈悲な殺人機械を演じ、その後のキャリアを決定づけました。
2. こんな人におすすめ
✅ おすすめ
- SF映画ファン。
時間旅行とAI脅威論を巧妙に織り交ぜた設定構築が秀逸です。 - アクション映画ファン。
無機質な敵との生死を賭けた追跡劇が楽しめます。 - ヒーローものが好きな方。
強い女性主人公と、骨太なヒーロー像を求める方におすすめ。
⚠️ 注意点
グロテスクな表現が苦手な方。
一部のシーンで人体模型や骨格、暴力表現と殺戮シーンが頻繁に描かれています。- ロマンス重視の方。
恋愛要素は控えめで、硬派な内容です。 - 現代の映像に慣れた方。
80年代の特撮技術のため、視覚効果には古さがあります。
3. 物語とテーマ
📝 あらすじと概要
2029年の未来から、1984年のロサンゼルスに送り込まれた殺戮機械ターミネーターが、未来において人類抵抗軍リーダーの母となるサラ・コナーを抹殺しようと執拗に追跡する物語です。
💭 テーマと構造
本作の核心にあるのは「運命は変えられるのか」というテーマです。
未来を変えようと過去へ来たターミネーターと、未来を守ろうと過去へ来たカイル。
彼らの行動は、サラの運命を変えるのか、あるいはすでに決まっていた未来の出来事をなぞっているだけなのか。
このパラドックス的な物語構造が、映画に深みを与えています。
4. 映像・音響表現と演出
キャメロン監督は限られた予算を最大限活用し、実用的特撮とミニチュアワークで未来的恐怖を具現化しました。
ターミネーターの機械的視点を表現する赤外線映像や、損傷した顔面の精巧なメイクアップも印象的です。
また、ブラッド・フィーデルによるシンセサイザーを多用した音楽は、作品全体のSF的な雰囲気を高め、未来からの脅威を効果的に表現しています。
照明技術では青と赤の対照的色彩が未来と現在、機械と人間を象徴的に区別し、暗闇の中での追跡シーンに独特の美学を生み出しています。
5. 製作エピソード
ジェームズ・キャメロンは1980年にローマで高熱に浮かされながら見た悪夢から、この物語を着想しました。
「金属骨格を持つロボットが炎の中から歩き出る」幻覚的映像が、後のターミネーター・エンドスケルトンの原型となったのです。
脚本執筆時、キャメロンは「スター・ウォーズ」の成功を受けてSF映画への需要が高まっていることを意識していました。しかし彼が目指したのは宇宙的スペクタクルではなく、現代都市を舞台とした身近な恐怖でした。
脚本は、キャメロン自身と当時のパートナーであったゲイル・アン・ハードが共同で執筆しました。
しかし、当時のキャメロンはまだ無名の存在であり、映画化の資金調達は困難を極めました。
(監督した作品は「殺人魚フライング・キラー」というB級作品1本のみ。しかも途中降板しています。)
彼は、自らが監督を務めることを条件に、脚本の権利をゲイル・アン・ハードにわずか1ドルで売却するという異例の手段に出ます。
この決断が、彼の監督採用のきっかけとなりました。
製作費はわずか640万ドルという超低予算のため、キャメロンとプロデューサーのゲイル・アン・ハードは創意工夫を重ね、撮影はわずか45日間で行われています。
シュワルツェネッガーの起用は偶然の産物でした。
当初、キャメロン監督は、ターミネーター役にランス・ヘンリクセンを想定していましたが、製作会社からアーノルド・シュワルツェネッガーを起用するよう強く勧められました。
そこでキャメロンは、彼をカイル・リース役で考えていましたが、面談でシュワルツェネッガーがターミネーターについて語った、冷酷で計算高い解釈に感銘を受け、悪役への変更を決定しました。
シュワルツェネッガー自身は後にこう振り返っています。
「この役で私の人生が変わった。機械を演じることで、逆説的に人間性を学んだ」
(ちなみにランス・ヘンリクセンは「殺人魚フライング・キラー」にも出演、本作では刑事役、そしてキャメロン監督の次作「エイリアン2」ではビショップ役で出演し、当たり役となっています。)
特殊効果のスタン・ウィンストンは、ターミネーターの機械的骨格デザインにおいて、人間の筋肉構造を詳細に研究し、それを金属で再現することで独特の不気味さを生み出しました。
ウィンストンは「人間に最も近く、しかし決定的に異なる存在を作りたかった」と語っています。
特に、ターミネーターのサイバーダイン社での破壊シーンや、エンドスケルトンが炎の中から現れる描写は、当時の観客に強烈な印象を与えました。
ミニチュアワークとストップモーションアニメーションを巧みに組み合わせることで、低予算を感じさせないリアリティと迫力を生み出しています。
撮影中、シュワルツェネッガーは台詞を最小限に抑えたターミネーターの特徴を活かし、身体表現と眼差しだけで機械の冷酷さを表現する演技に専念しました。
撮影前には、まばたきを控える練習を重ね、人間らしさを排除した演技を追求したそうです。
6. 国内外の評価
🌎 海外メディア評価
公開前の予想に反して、『ターミネーター』は2週間にわたって米国の興行成績のトップに立ち、640万ドルの少ない製作費に対し、最終的に7,830万ドルの興行収入を記録し、興行的にも大成功を収めました。
Variety、Empireなど世界各誌が「SFジャンルの金字塔」「アクション映画の到達点」と絶賛。
Rotten Tomatos評価では、ターミネーター全作品中1位の評価を獲得しており、批評家たちからの評価は現在でも100%、SF映画史上の傑作として位置づけられています。
TIME誌は本作を「1984年のベスト10映画」に選出。
New York Timesは「SFとホラーの緊張感を完璧に融合させた」と絶賛しました。
当初は「B級SFホラー映画」として企画されたにも関わらず、その完成度の高さが評価されることとなりました。
特に、低予算映画でありながらも高いクオリティを実現したキャメロン監督の手腕と、シュワルツェネッガーの印象的な演技を高く評価しています。
🇯🇵 日本国内評価
日本においては、SF的設定の巧妙さと哲学的テーマ性を評価する傾向があり、海外では純粋なアクション映画として受け取られがちな本作を、より思索的な作品として捉える声が多く見られます。
7. レビューと関連作品
💯 レビュー
『ターミネーター』は、監督・俳優ら製作陣の才能によって、映画史に残るSFアクション映画となりました。
それだけでなく、まだWindowsパソコンすらない時代に、AIやロボットが覇権を握りうる未来に対する鋭い警鐘作ともなっています。
映画としてもキャメロン監督が限られた予算内で実現した視覚効果と緻密な世界観は、後のSF映画界に計り知れない影響を与えています。
まさに、傑作と呼ぶにふさわしい作品で、キャメロン監督は、本作の後も「エイリアン2」「アビス」「タイタニック」などの傑作を撮り続ける事になります。
ただ残念なのは、キャメロン監督は、ここ10年以上も、ライフワークとなりつつある「アバター」にかかり切りであること。
史上空前のヒット作となった2009年の1作目に続いて、2022年に2作目、そして本年2025年に3作目、さらには、2029年に4作目、2031年に5作目の公開が決定しています。
完全主義者であるキャメロン監督の事ですから、製作は予定より遅れそうで、当面「アバター」以外の作品が観れないなのは、ファンとしては悲しい限りです。
🍿 関連作品レコメンド
同ジャンル/テーマ
- 『ブレードランナー』(1982)
レプリカントと人間の境界線を探求する傑作SF。
本作と共通する「人造人間の脅威」というテーマを描いています。 - 『マトリックス』(1999)
ウォシャウスキー兄弟が監督した、人類と機械の戦いを描く革新的なSF。
同監督作
- 『エイリアン2』(1986)
キャメロンがアクション要素を大幅に増強した続編。
女性が戦うヒーロー像や、緊迫感あるアクション演出に共通点が見られます。
🔗 参考文献・リンク
IMDb、Rotten Tomatoes、SCREEN ONLINE
allcinema、映画.com、Wikipedia、
更新情報
2025年9月9日: 初回投稿