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シャマラン監督が仕掛ける密室スリラーの新たな境地

トラップ

公開年:2024 年

海外題:Trap

上映時間 105 分

制作国:アメリカ

監督: M・ナイト・シャマラン

出演:ジョシュ・ハートネット

Rottenn Tomatos評価

56%

iMDb評価

Filmarks評価

運営評価

レビュー

1. 作品概要と魅力

📝 あらすじ

愛娘のためライブ会場を訪れた優しい父親クーパー。
しかし、3万人の観客を収容する巨大アリーナは、連続殺人鬼「ブッチャー」を捕らえるため仕組まれた、前代未聞の罠であった。

💎 本作の魅力

  • 逆転の視点設定
    殺人鬼視点からの密室サスペンス。通常なら警察視点で描かれる包囲網脱出劇を、追われる側から描く斬新な構成が緊張感を生みます。

  • ライブ会場という舞台装置 
    華やかなライブの熱狂と緻密な捜査網が交錯する、シャマラン独特の限定空間設定が際立ちます。

  • 父親の二面性
    穏やかな父親と冷酷なサイコパスという二面性を持つ主人公を、J・ハートネットが巧みに演じ分けています。


2.おすすめ視聴ポイント

✅ こんな人におすすめ

  • サスペンス映画で心理的緊張を味わいたい方。

  • 家族関係をテーマにした作品に関心を持つ方。

  • シャマラン作品の独特な仕掛けを楽しみたい映画ファン。
  •  
⚠️ 注意点

  • 展開の意外性が強く、論理的整合性を重視する人には不向きかもしれません。

  • 音楽演出が物語に直結するため、ライブ感が苦手な方は注意。

  • サスペンス要素が濃厚で、軽快な娯楽を求める人には重く感じる可能性あり。

3. 製作エピソード

本作は、M・ナイト・シャマラン監督と、娘でシンガーソングライターのサレカ・シャマランとの対話から生まれました。
プリンスの『パープル・レイン』のように、コンサート体験と映画体験を融合させる構想が、やがてライブ会場を舞台にしたスリラーへと発展しました。

撮影は2023年後半にカナダで行われ、トロントのロジャース・センターが主要なロケ地となりました。

 

ジョシュ・ハートネットの起用は、運命的な出会いから実現しました。
シャマランが主演俳優を検討していた時期、ハートネットはシャマランの娘イシャナの監督デビュー作『ザ・ウォッチャーズ』の撮影中にアイルランドを訪れ、シャマランとランチを共にしました。

そのハートネットの起用について、シャマラン監督は「彼には複雑な知性と、どこか影のある美しさがある」と評しています。

ハートネットは役作りのために、サイコパスに関する専門書や連続殺人犯についての文献を研究し、独自のキャラクター造形を追求しました。

 

本作の核となるアイデアは、1985年12月にワシントンD.C.で実施された実際の囮捜査作戦「オペレーション・フラッグシップ」に触発されています。

この作戦では、米国連邦保安官局とワシントン首都警察が、架空のテレビ会社「フラッグシップ・インターナショナル・スポーツTV」名義で、未解決の逮捕状を持つ3,000人以上の逃亡者に対し、無料のスポーツイベントチケットが当選したという偽の招待状を送付しました。

会場に現れた101人が一斉に逮捕されるという、史上最も成功した囮捜査の一つとなりました。

シャマランはこの歴史的事件を現代のポップカルチャーと融合させ、「テイラー・スウィフトのコンサートで『羊たちの沈黙』が起きたら」というコンセプトにまで発展させました。

 

サレカ・シャマランは劇中のポップスター、レディ・レイヴンを演じるだけでなく、映画のために14曲を作詞作曲しています。

映画のスコア自体は、『ノック 終末の訪問者』も手がけたヘルディス・ステファンスドッティルが担当し、サレカの楽曲とは独立して制作されています。

 

2023年、ハリウッドは俳優組合SAG-AFTRAのストライキに見舞われましたが、『トラップ』は撮影を継続することができました。これは、シャマランが自己資金で映画を製作しているためで、この独立性こそが、シャマランが創作の自由を保ち続ける秘訣となっています。

 

シャマランは本作への特別な愛着を語っています。
「編集が終わって3週間後、オフィスに戻った時、これらのキャラクターともう会えないという喪失感を覚えた。編集室に駆け込むのが楽しみだった」

試写会では、観客に「続編を見たいか」と尋ねたところ、会場の全員が手を挙げたといいます。
シャマランはその光景に驚き、続編の可能性について前向きな姿勢を示しています。

 

4. 国内外の評価

 

🌎 海外メディア評価

 

Rotten Tomatoesスコアは、批評家評価が56%、観客評価が64%と賛否両論の結果となっています。

肯定的な評価としては、The A.V. Clubが「シャマランの過去10年間の自己流ポップヒット作品の中で、最も純粋に楽しめる作品かもしれない」とB+評価を与えました。

RogerEbert.comのブライアン・タレリコ氏は「本作はシャマランにとって最も純粋なエンターテインメントの一つだ。ジョシュ・ハートネットの表情の演技が、観客を最後まで釘付けにする」と称賛しています。

The Guardianは「父娘関係の描写が物語に深みを与える」と指摘しました。

IndieWireは「リアリティを超えた設定すぎて実際には怖くないが、ハートネットのサイコパスな父親としての緻密な演技は、危険なカリスマ性に満ちていて無視できない」とB評価をつけています。

New York Magazineは「ハートネットに与えられた役割は、『スプリット』でジェームズ・マカヴォイに与えたものと同等だ。不可能と思えるほどうまく機能している」と評価しました。

否定的な意見では、Chicago Sun-timesが「笑えるほど荒唐無稽な展開の連続で、新しいひねりが加わるたびに、前よりも信じがたく滑稽になっていく」と批判しました。

Metacriticでは、46人の批評家レビューを基に52点(100点満点)となり、「賛否両論または平均的」な評価となりました。

VarietyのOwen Gleibermanは「これほど根本的に荒唐無稽なものを観客に受け入れさせようとするのは侮辱に近い。率直に言って、楽しくない」と厳しく評価しています。

フランスの映画誌『カイエ・デュ・シネマ』は、本作を2024年のトップ10映画の9位に選出しました。

 

🇯🇵 日本国内評価

 

Filmarksでは18,000件を超えるレビューが投稿されており、「シャマランらしい展開」「ハートネットの演技が光る」という肯定的な意見がある一方、「後半の展開が荒唐無稽」「娘のプロモーション色が強い」という批判的な声も見られます。

映画.comでは、「前半のライブ会場での緊張感は素晴らしいが、後半の展開で失速する」「警察の対応があまりにも杜撰」といった指摘がある一方で、「シャマラン映画としての楽しさは健在」「親子の絆と狂気の対比が興味深い」という評価もありました。

 

本作は製作費3,000万ドルに対し、全世界で8,367万ドルを記録しました(Box Office Mojo調べ)。

シャマラン監督の過去作品と比較すると、『シックス・センス』(全世界6億7,000万ドル)、『サイン』(4億ドル超)には及ばないものの、前作『ノック 終末の訪問者』(5,480万ドル)を上回り、『オールド』(9,010万ドル)には届かない結果となりました。

製作費を回収し黒字化したものの、シャマランのキャリアの中では控えめな興行成績といえます。

 

5. 総合レビューと関連作品

 

💯 総評

 

『トラップ』は、M・ナイト・シャマランが得意とする限定空間設定と予測不能な展開を、連続殺人鬼視点という斬新な切り口で描いたサスペンス作品です。

前半のライブ会場における緊張感は見事で、J・ハートネットの二面性を持つ演技が物語を牽引します。
しかし、後半の展開は論理的整合性を犠牲にした大胆さが賛否を分けています。

娘サレカの音楽活動を前面に押し出したファミリープロジェクトという側面も、純粋なスリラー作品としては足を引っ張っています。

それでも、シャマラン監督特有の映像とダークユーモア、そして「何かが起きる」という期待感を持続させる演出力は健在です。

 

🍿 関連作品レコメンド

 

同ジャンル/テーマ作品

  • 『羊たちの沈黙』(1991)
     ジョナサン・デミ監督。FBI捜査官と天才殺人鬼レクター博士の心理戦を描いたサイコスリラーの傑作。

  • 『シャッター アイランド』(2010)
    マーティン・スコセッシ監督。閉鎖的な施設を舞台にした心理ミステリー。限定空間での緊張感と主人公の二重性という共通点。

  • 『パック・ルーム』( 2002)
    限定された空間での攻防と心理戦が魅力です。

同監督作

  • 『スプリット』(2017)
    多重人格を持つ誘拐犯を描くサイコスリラー。
    ジェームズ・マカヴォイの怪演と、本作のハートネットに通じる多面的キャラクター造形が通じています。。

  • 『シックス・センス』(1999)
    シャマラン監督の出世作にして代表作。
    衝撃のどんでん返しと緻密な伏線構成は、今なお多くの作品に影響を与え続けています。

 

🔗 参考文献・リンク

Roger Ebert.com、Metacritic、Rotten Tomatoes、IMDb、MovieWalker Press、MSCREEN ONLINE、Variety、The New York Times、キネマ旬報、The Hollywood Reporter、In Review Online、BFI(British Film Institute)、Dennis Schwartz Reviews、allcinema、映画.com、Wikipedia、Cahiers du Ciném

 

🔄 更新情報

2025年12月15日: 初回投稿
2026年1月2日: 第2稿投稿

関連リンク

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