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運営コメント
実話に基づくこの作品は、現代社会の機能不全と人間の尊厳を巡る深遠なメッセージを秘めている。
主演の河合優実は、虐待と薬物依存に苦しむ少女・杏を圧倒的な演技で体現している。
佐藤二朗演じる人情味あふれる刑事と、稲垣吾郎扮する葛藤するジャーナリストが、物語に重層的な深みを加えている。
コロナ禍という未曾有の状況を物語に巧みに組み込んだ脚本は、社会の底辺で喘ぐ人々の姿を、美化することなく、かつ過度に悲観的にもならない絶妙なバランスで描いている。
入江監督の冷徹な視線は、現代日本の歪んだ家族像とセーフティネットの脆弱さをも容赦なく暴き出す。
しかし、単なる社会派ドラマではなく、人間の善意と希望の光も丁寧に描かれ、人間の再生可能性を信じる深い人間愛に貫かれている。
暗く湿った路地裏から陽光に満ちた風景まで、東京の多様な表情が登場人物の内面を雄弁に物語る。
社会の歪みを鋭く告発しながらも、人間の強さと優しさを讃えており、観る者に他者への想像力と共感の大切さを静かに訴えかけている。
ただ、内容が重い上に、ワンシーンが長く、この内容での2時間は重くのしかかってくる。