本作は、19世紀末から20世紀初頭への移行期という、アメリカ社会が大きく変化した時代を背景にしています。

その工業化の波は、西部開拓時代の英雄たちを過去の遺物へと変えていきました。
トム・ホーンは、そのような時代の変化に抗い、自身の誇りを貫こうとした男の象徴と言えます。

主演のスティーブ・マックイーンは、孤独と誇り高きホーンを繊細に演じ、その存在感が際立っています。

マックイーンは、その黄金期の代表作である「タワーリング・インフェルノ」の後に、映画から離れており、復帰した後に撮られた作品は本作と、遺作となった「ハンター」のみです。

制作も兼ねた本作が、西部時代の終焉を描く作品であり、主人公の生き様にマックイーン自身の生き様が重ねられています。

本作撮影時にはガンの影響もあってか、既に痩せているのがファンとしては痛ましかったです。