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ハンター

スティーブ・マックイーン、最後の追跡劇

公開年:1980 年

原題:ハンター

上映時間 98 分

制作国:アメリカ

監督:バズ・キューリック

出演:スティーブ・マックイーン、イーライ・ウォラック

ストーリー:

実在の伝説的賞金稼ぎが、危険な逃亡者追跡と家族の誕生の間で揺れ動く姿を描く。

Rottenn Tomatos評価

54%

iMDb評価

Filmarks評価

運営評価

映画レビュー

📌 この映画の注目ポイント
・マックイーン最後の演技
・実在の賞金稼ぎが題材
・70年代末のアメリカ都市風景

🎯 こんな人におすすめ/向かないかも
おすすめ:
・スティーブ・マックイーンのファン
・人間ドラマ寄りのアクション映画が好きな人

向かないかも:
・派手な展開やアクションを期待する人
・起伏に富んだドラマを求める人

📱 映画の基本解説
『ハンター』は、実在したバウンティハンター(賞金稼ぎ)、ラルフ・ソーソンの半生を描いたアクション映画です。

保釈中に逃亡した犯罪者を追跡して捕らえるというソーソンの危険な仕事を軸に、家庭生活や恋人との関係など、賞金稼ぎの知られざる日常にもスポットを当てています。

この作品はスティーブ・マックイーンの遺作となりました。

当時50歳になっていたマックイーンは、これまでの硬派なイメージから少し柔らかくなり、老眼鏡をかけてブリキのおもちゃを集めるという趣味を持つ、生活感あふれる主人公を演じています。

実在の賞金稼ぎであるラルフに敬意を表しつつ、ハリウッド的脚色も加えられた、マックイーンのキャリアを締めくくるにふさわしい作品に仕上がっています。

🎥 映像美と演出のポイント
バズ・キューリック監督は、派手なアクションシーンより、日常の中のドラマを丁寧に描くことに力を入れています。

トラクターでのカーチェイスや地下鉄高架線にぶら下がるシーンなど、いくつかの見せ場はありますが、全体的には淡々とした演出が特徴です。

撮影を担当したフレッド・コーネカンプのカメラワークは、1980年当時のアメリカの街並みや生活感を自然に切り取っており、ドキュメンタリータッチの質感が作品全体に説得力を与えています。

🎭 脚本と演技の見どころ
テッド・レイトンとピーター・ハイアムズによる脚本は、いくつかの独立したエピソードを緩やかに繋げる構成になっています。

この手法は物語の統一感という点では弱さを見せますが、日常の断片を積み重ねることで、主人公の人生の一部を垣間見るような臨場感を生み出しています。

マックイーンの演技は、この作品の最大の見どころです。これまでの冷徹なヒーロー像とは違い、運転が下手だったり老眼鏡をかけたりと、人間的な弱さを見せています。

キャスリン・ハロルドが演じる妊娠中の恋人ドティーとの関係性も丁寧に描かれており、タフガイと言われたマックイーンの意外な一面を見ることができます。

🎵 音楽と音響効果
音楽を担当したのは名匠ミシェル・ルグラン。
彼の手がける音楽は、マックイーンの演じるソーソンの心情や日常の風景を繊細に彩ります。

👁️ 共感ポイント
この映画の最大の魅力は、スクリーン上のマックイーンがこれまでのクールなイメージから一歩離れ、年齢を重ねた男性の温かみのある魅力を見せていることです。

特に印象的なのは、生まれてきた赤ん坊を見た時のマックイーンの表情で、演技を超えた人間的な温かさが感じられます。

(こういったシーンを挿入したこと自体が、死期が迫っていることを知っていたマックイーンからのメッセージとも言えます)

結婚や父親になることに迷いを抱く主人公の心情は、現代の視聴者にも共感できるテーマです。
家庭と仕事の間で葛藤する姿は、どんな時代でも変わらない普遍的な問題を描いていると言えるでしょう。

この作品はスティーブ・マックイーンのファンなら必見。
彼の最後の姿と、それまでのイメージとは少し異なる演技を見ることができる貴重な作品となっています。

また、70年代末期のアメリカ映画特有の、少し寂しげながらも温かみのある雰囲気を味わいたい方にもおすすめできます。

📊 批評家と興行の評価
『ハンター』は興行的には中程度の成功で終わりました。

批評家からの評価は賛否が分かれています。「マックイーンらしく男らしい作品」と好意的に評価する声がある一方、「人間ドラマとしてもアクション映画としても中途半端」という批判も見られます。

マックィーンは、孤高と反逆の少年時代を過ごし、俳優としてはアクションを中心にハリウッドを代表する俳優として活躍してきました。
その最後のメッセージとしてこの作品を位置づけると、単なるアクション映画とは意味合いが変わってくると思います。

🎬 制作裏話と小ネタ
この映画の最大の裏話は、実在のラルフ・ソーソン本人がバーテンダーのトミー役として出演していること。

自分の人生を映画化され、さらにスティーブ・マックイーンに演じてもらうというのは、本人にとっても特別な経験だったことでしょう。

また、レーシングドライバーとしても有名だったマックイーンが、この映画では「車庫入れができないくらい運転が下手」という設定は、彼自身のセルフパロディとして興味深いポイントです。

撮影中、マックイーンはすでに体調が優れない状態だったと言われています。

その事実を感じさせず、自然な演技を見せ、ほとんどのアクションシーンを本人が演じています。

彼の映画俳優としての最後の姿を見ることができるという意味で、この作品は映画史的にも貴重な価値を持っています。

🔮 関連作品のおすすめ
『栄光のル・マン〜』(1971年)- マックイーンが、製作・脚本・監督・主演の4役をこなし完成させたリアルなカーレース映画。

『バウンティハンター』(2010年)- ジェニファー・アニストンとジェラルド・バトラー主演の現代版バウンティハンター映画。

『ハンター』より明るいコメディタッチですが、賞金稼ぎの仕事と私生活の葛藤というテーマは共通しています。

『ミッドナイト・ラン』(1988年)- ロバート・デ・ニーロが賞金稼ぎを演じる作品。よりドラマ性の高い賞金稼ぎ映画を楽しみたい方に特におすすめです。

📝 まとめ
『ハンター』は、スティーブ・マックイーンの最後の姿を見ることができる貴重な作品です。

物語の構成や展開には弱さ(ドラマ部分でややだれる)も見られますが、マックイーンの温かみのある演技や、日常生活を丁寧に描く演出には魅力があります。

人間的な弱さや温かさを見せるマックイーンの演技は、それまでのクールなイメージとは異なる新しい魅力を発見させてくれます。

関連リンク

他のスティーブ・マックイーン出演作品 「トム・ホーン 」「タワーリング・インフェルノ

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